本項では、『置換積分法による積分』と『パターンごとの問題の解き方』について解説します。
置換積分法とは、ある関数 \(\large{f(x)}\) の積分を計算するときに、\(\large{x}\) を別の変数に置き換える積分の計算方法です。
変数の置き換えをすることで、\(\displaystyle \large{\int x \sqrt{x+2} \hspace{1pt}dx}\) や \(\displaystyle\large{\int x\hspace{1pt}(x^2-3)^5\hspace{1pt} dx}\) , \(\displaystyle\large{\int \sin x \cos^3 x\hspace{1pt} dx}\) など、そのままでは計算の難しい積分を、より簡単な積分に変換することができます。
\(\large{f(x)}\) の不定積分を \(\displaystyle\large{y = \int f(x) dx}\) としたとき、微分可能な \(\large{t}\) の関数 \(\large{g(t)}\) を用いて \(\large{x=g(t)}\) とおくとします。\(\large{y}\) を変数\(\large{t}\) で微分すると、合成関数の微分から、 $$\large{\frac{dy}{dt}=\frac{dy}{dx}\frac{dx}{dt}=f(x)\hspace{1pt}g\hspace{1pt}'(t)=f(g(t))\hspace{1pt}g\hspace{1pt}'(t)}$$ となります。
したがって、上式を積分すると、以下の関係が導かれます。
上式は、\(\large{x}\) を \(\large{g(t)}\) に置換するときは、\(\large{dx}\) は \(\large{g\hspace{1pt}'(t)\hspace{1pt}dt}\) に置換することを意味します。
不定積分の置換積分法は、以下のような手順で計算を行います。
置換積分法を利用した例題について解説します。
【手順①】関数\(\large{f(x)}\) の一部を 変数\(\large{t}\) に置き換える
\(\large{t = \sqrt{x+2}}\) とおくと、\(\large{t^2=x+2}\) から \(\large{x=t^2 -2}\) となります。
【手順②】置き換えた式を微分して \(\displaystyle\large{\frac{dx}{dt}}\) を求める
ここで、両辺を \(\large{t}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dx}{dt} = 2t}$$ となります。
上式において、\(\large{dx = 2t\hspace{1pt}dt}\) と表すと、次の手順③の 『不定積分を \(\large{t}\) の式で表す』が分かりやすくなります。
【手順③】不定積分を \(\large{t}\) の式で表して計算する
問題の不定積分を \(\large{x=t^2 -2}\)、\(\large{dx = 2t\hspace{1pt}dt}\) を用いて \(\large{t}\) の式に変換して計算します。 \begin{eqnarray} \large \int x \sqrt{x+2}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \int (t^2-2) \cdot t \cdot 2t \hspace{1pt}dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 2 \int (t^4-2 t^2) \hspace{1pt}dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 2 \left(\frac{1}{5}t^5 - \frac{2}{3}t^3\right) + C \\[0.5em] \end{eqnarray}
【手順④】計算結果を \(\large{x}\) の式に直す
ここで、\(\large{t = \sqrt{x+2}}\) であることから、 $$\large{\int x \sqrt{x+2}\hspace{1pt} dx = \frac{2}{5}(x+2)^\frac{5}{2} - \frac{4}{3}(x+2)^{\frac{3}{2}} + C}$$
置換積分法は、定積分にも用いられます。
定積分の場合は、変数の置換によって積分する範囲が変化する点に注意が必要です。
ある関数 \(\large{f(x)}\) の定積分 \(\displaystyle\large{\int_a^b f(x)\hspace{1pt}dx}\) において、微分可能な \(\large{t}\) の関数 \(\large{g(t)}\) を用いて \(\large{x=g(t)}\) と置換したとき、以下の式が成り立ちます。
定積分の置換積分法は以下のような手順で計算を行います。
置換積分法を利用した例題について解説します。
【手順①】関数\(\large{f(x)}\) の一部を 変数\(\large{t}\) に置き換える
\(\large{t = \sqrt{x+2}}\) とおくと、\(\large{t^2=x+2}\) から \(\large{x=t^2 -2}\) となります。
【手順②】区間 \(\large{a \leqq x \leqq b}\) から \(\large{\alpha \leqq t \leqq \beta}\) を求める
ここで、\(\large{t = \sqrt{x+2}}\) から、変数\(\large{x}\) の範囲に対応する変数\(\large{t}\) の範囲を求めると、以下のようになります。
\(\large{x}\) | \(\large{0 \to 1}\) |
---|---|
\(\large{t}\) | \(\large{\sqrt{2} \to \sqrt{3}}\) |
【手順③】置き換えた式を微分して \(\displaystyle\large{\frac{dx}{dt}}\) を求める
ここで、\(\large{x=t^2 -2}\) の両辺を \(\large{t}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dx}{dt} = 2t}$$ となります。
上式において、\(\large{dx = 2t\hspace{1pt}dt}\) と表すと、次の手順④で \(\large{t}\) の式に変換するときに分かりやすくなります。
【手順④】積分を \(\large{t}\) の式で表して計算する
したがって、与えられた定積分を計算すると以下のようになります。 \begin{eqnarray} \large \int_0^1 x \sqrt{x+2}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \int_\sqrt{2}^\sqrt{3} (t^2-2) \cdot t \cdot 2t \hspace{1pt}dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 2 \int_\sqrt{2}^\sqrt{3} (t^4-2 t^2) \hspace{1pt}dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 2 \left[ \frac{1}{5}t^5 - \frac{2}{3}t^3 \right]_\sqrt{2}^\sqrt{3} \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{2}{5}(3^\frac{5}{2} - 2^\frac{5}{2})-\frac{4}{3}(3^{\frac{3}{2}}-2^{\frac{3}{2}}) \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{16}{15}\sqrt{2} -\frac{2}{5}\sqrt{3}\\[0.5em] \end{eqnarray}
本章では、置換積分法がよく用いられる積分の問題のパターンを紹介します。
被積分関数に累乗を含む \(\large{\int (f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) などの場合は、\(\large{t=f(x)}\) とおいて置換します。
被積分関数に累乗を含む \(\large{\int (f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) や \(\large{\int x(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) のような積分は、 \(\large{t=f(x)}\) と累乗の内側を置換することが基本です。
例えば、 \(\large{\int x\hspace{1pt}(x-3)^5\hspace{1pt} dx}\) は \(\large{t=x-3}\) により置き換えて計算できます。
また、\(\large{\int x\sqrt{x+2}\hspace{1pt} dx}\) のように、ルートの内側が \(\large{x}\) の1次式である場合は、\(\large{t=\sqrt{x+2}}\) と置換することもできます。
また、①の特別な場合として、積分が \(\large{\int f'(x)\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) (\(\large{a \neq -1}\)) で表される場合、簡単に積分の結果を求めることができます。 $$\large{\int f'(x)\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx = \frac{1}{a+1}(f(x))^{a+1} + C}$$
被積分関数の分母を \(\large{f(x)}\) としたとき、分子 \(\large{f'(x)}\) となる場合は、\(\large{t=f(x)}\) と置換して積分を計算できます。
例えば、 \(\large{\int \frac{3x^2+4}{x^3+4x-2}\hspace{1pt} dx}\) は \(\large{t=x^3+4x-2}\) により置き換えて計算できます。
この積分は、先述した \(\large{\int f'(x)\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の \(\large{a = -1}\) である場合に相当します。
積分の計算結果は、以下のように簡単に求めることができます。 $$\large{\int \frac{f'(x)}{f(x)}dx = \log |f(x)| + C}$$
\(\displaystyle\large{ \int f'(x)\hspace{1pt} e^{f(x)}\hspace{1pt} dx}\) や \(\displaystyle\large{ \int f'(x) \hspace{1pt} \sin (f(x))\hspace{1pt} dx}\) などの形式の場合、\(\large{t=f(x)}\) とおくと、簡単な指数関数 \(\large{e^x}\) や 三角関数 \(\large{\sin x}\) の積分に置き換えることができます。
例えば、 \(\displaystyle\large{\int x e^{-x^2} \hspace{1pt} dx}\) は \(\large{t=-x^2}\) により置き換えて計算します。
被積分関数に \(\displaystyle\large{ \sqrt{a^2-x^2}}\) が含まれる場合は \(\large{x=a\sin t}\) と置換します。
また、\(\displaystyle\large{ \frac{1}{a^2+x^2}}\) が含まれる場合は \(\large{x=a\tan t}\) と置き換えます。
例えば、 \(\displaystyle\large{\int \sqrt{4-x^2} \hspace{1pt} dx}\) は \(\large{x=2 \sin t}\) により置き換えて計算します。
問題(1)~(4)は、被積分関数に累乗を含む \(\displaystyle\large{\int x \hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) や \(\displaystyle\large{\int f'(x)\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の形式である場合の積分計算です。(パターン①:累乗を含む積分)
(解答と解説 : 問題(1) 問題(2) 問題(3) 問題(4))
問題(5),(6)は、\(\displaystyle\large{\int \frac{f'(x)}{f(x)}\hspace{1pt} dx}\) の形式の場合の積分です。(パターン②:分母の微分が分子となる積分)
問題(7),(8)は、\(\displaystyle\large{ \int f'(x) \cdot e^{f(x)}\hspace{1pt} dx}\) や \(\displaystyle\large{ \int f'(x) \cdot \sin (f(x))\hspace{1pt} dx}\) の形式の積分です。(パターン③:指数関数, 三角関数を含む積分)
問題(9),(10)は、特別な置き換えをする場合の問題です。(パターン④:特別な置き換えをする積分)
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して不定積分を求める問題です。
被積分関数に累乗を含む \(\displaystyle\large{\int x\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の形式であるため、\(\large{t=x^2-3}\) とおいて置換します。(パターン①:累乗を含む積分)
このとき、両辺を \(\large{x}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dt}{dx} = 2x}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = 2x\hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、問題の不定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int x(x^2-3)^5\hspace{1pt} dx &\large =&\large \frac{1}{2} \int t^5 \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{6} t^6 + C \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{12} t^6 + C \\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、\(\large{t = x^2-3}\) であることから、 $$\large{\int x(x^2-3)^5\hspace{1pt} dx = \frac{1}{12}(x^2-3)^6 + C}$$ となります。
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して不定積分を求める問題です。
被積分関数に累乗を含む \(\displaystyle\large{\int x\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の形式であるため、\(\large{t=x-3}\) とおいて置換します。(パターン①:累乗を含む積分)
\(\large{t = x-3}\) とおくと、\(\large{x=t+3}\) となります。
両辺を \(\large{t}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dx}{dt} = 1}$$ となります。すなわち、\(\large{dx = dt}\) と表せます。
したがって、与えられた不定積分を計算すると以下のようになります。 \begin{eqnarray} \large \int x(x-3)^5\hspace{1pt} dx &\large =&\large \int (t+3)\cdot t^5 \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \int (t^6 + 3t^5)\hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{7}t^7 + 3\cdot\frac{1}{6}t^6 + C \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{7}t^7 + \frac{1}{2}t^6 + C \\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、\(\large{t = x-3}\) であることから、 $$\large{\int x(x-3)^5\hspace{1pt} dx = \frac{1}{7}(x-3)^7 + \frac{1}{2}(x-3)^6 + C}$$ となります。
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して定積分を求める問題です。
\(\displaystyle\large{\frac{x}{\sqrt{x^2+2}} = x (x^2+2)^{-\frac{1}{2}}}\) と見ると、\(\displaystyle\large{\int x\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の形式であるため、\(\large{t=x^2+2}\) とおいて置換します。(パターン①:累乗を含む積分)
変数\(\large{x}\) の範囲に対応する変数\(\large{t}\) を求めると、以下のようになります。
\(\large{x}\) | \(\large{0 \to 1}\) |
---|---|
\(\large{t}\) | \(\large{2 \to 3}\) |
このとき、\(\large{t=x^2+2}\) の両辺を \(\large{x}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dt}{dx} = 2x}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = 2x\hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、問題の定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int_0^{1} \frac{x}{\sqrt{x^2+2}}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \frac{1}{2} \int_2^3 \frac{1}{t^\frac{1}{2}}\hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{2} \cdot 2 [t^{\frac{1}{2}}]_2^3 \\[0.5em] \large &\large =&\large \sqrt{3} - \sqrt{2} \\[0.5em] \end{eqnarray}
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して三角関数の不定積分を求める問題です。
\(\displaystyle\large{\int f'(x)\hspace{1pt}(f(x))^a\hspace{1pt} dx}\) の形式であるため、\(\large{t=\cos x}\) とおいて置換します。(パターン①:累乗を含む積分)
\(\large{t=\cos x}\) の両辺を \(\large{x}\) で微分すると、三角関数の微分公式から $$\large{\frac{dt}{dx} = -\sin x}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = - \sin x \hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、問題の不定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int \sin x \cos^3 x\hspace{1pt} dx &\large =&\large - \int t^3 \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large -\frac{1}{4} t^4 + C \\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、\(\large{t = \cos x}\) であることから、 $$\large{\int \sin x \cos^3 x \hspace{1pt} dx= -\frac{1}{4} \cos^4 x + C}$$ となります。
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して不定積分を求める問題です。
被積分関数の分母を \(\large{f(x)}\) としたとき、分子が \(\large{f'(x)}\) の関係になっています。このとき、\(\large{t=f(x)}\) とおくことで積分できます。(パターン②:分母の微分が分子となる積分)
\(\large{t = x^3+4x-2}\) とおき、両辺を \(\large{x}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dt}{dx} = 3x^2+4}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = (3x^2+4)\hspace{1pt}dx}\) と表せます。
したがって、与えられた不定積分を計算すると以下のようになります。 \begin{eqnarray} \large \int \frac{3x^2+4}{x^3+4x-2}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \int \frac{1}{t}\hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \log |t|+C \\[0.5em] \large &\large =&\large \log |x^3+4x-2| +C\\[0.5em] \end{eqnarray}
【別解】
本問のように被積分関数が \(\displaystyle\large{\frac{f'(x)}{f(x)}}\) の形式であれば、
$$\large{\int \frac{f'(x)}{f(x)}dx = \log |f(x)| + C}$$
と計算することができます。
\begin{eqnarray} \large \int \frac{3x^2+4}{x^3+4x-2}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \int \frac{(x^3+4x-2)'}{x^3+4x-2}\hspace{1pt} dx \\[0.5em] \large &\large =&\large \log |x^3+4x-2|+C \\[0.5em] \end{eqnarray}
【解答と解説】
前問と同様に、置換積分法を利用して不定積分を求める問題です。
問題の式を変形すると、 $$\large{\int \tan x \hspace{1pt} dx = \int \frac{\sin x}{\cos x} \hspace{1pt} dx}$$ となります。
したがって、分母を \(\large{f(x)}\) としたとき、分子が \(\large{f'(x)}\) の関係になっており、分母を \(\large{t=f(x)}\) とおくことで積分できます。(パターン②:分母の微分が分子となる積分)
\(\large{t = \cos x}\) とおき、両辺を \(\large{x}\) で微分すると、三角関数の微分公式から $$\large{\frac{dt}{dx} = -\sin x}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = - \sin x \hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、与えられた不定積分を計算すると以下のようになります。 \begin{eqnarray} \large \int \frac{\sin x}{\cos x}\hspace{1pt} dx &\large =&\large -\int \frac{1}{t}\hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large -\log |t|+C \\[0.5em] \large &\large =&\large -\log |\cos x| +C\\[0.5em] \end{eqnarray}
【別解】
前問と同様に、被積分関数が \(\displaystyle\large{\frac{f'(x)}{f(x)}}\) の形式であれば、
$$\large{\int \frac{f'(x)}{f(x)}dx = \log |f(x)| + C}$$
と計算することができます。
\begin{eqnarray} \large \int \frac{\sin x}{\cos x}\hspace{1pt} dx &\large =&\large \frac{-(\cos x)'}{\cos x}\hspace{1pt} dx \\[0.5em] \large &\large =&\large -\log |\cos x|+C \\[0.5em] \end{eqnarray}
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して指数関数の不定積分を求める問題です。
問題の積分は \(\displaystyle\large{ \int f'(x) \cdot e^{f(x)}\hspace{1pt} dx}\) の形式の積分です。(パターン③:指数関数, 三角関数を含む積分)
\(\large{t= -x^2}\) とおき、両辺を \(\large{x}\) で微分すると、 $$\large{\frac{dt}{dx} = -2x}$$ となります。すなわち、\(\large{dt = - 2x \hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、問題の不定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int x e^{-x^2} \hspace{1pt}dx &\large =&\large -\frac{1}{2}\int e^t \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large -\frac{1}{2} e^t + C \\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、\(\large{t = -x^2}\) であることから、 $$\large{\int x e^{-x^2} \hspace{1pt} dx= -\frac{1}{2} e^{-x^2} + C}$$ となります。
【解答と解説】
本問は、置換積分法を利用して三角関数、対数関数を含む不定積分を求める問題です。
問題の積分は \(\displaystyle\large{ \int f'(x) \cdot \sin (f(x))\hspace{1pt} dx}\) の形式の積分です。(パターン③:指数関数, 三角関数を含む積分)
\(\large{t= \log x}\) とおき、両辺を \(\large{x}\) で微分すると、対数関数の微分から、 $$\large{\frac{dt}{dx} = \frac{1}{x}}$$ となります。すなわち、\(\displaystyle\large{dt = \frac{1}{x}\hspace{1pt} dx}\) と表せます。
したがって、問題の不定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int \frac{\sin (\log x)}{x} \hspace{1pt} dx &\large =&\large \int \sin t \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large -\cos t + C \\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、\(\large{t = \log x}\) であることから、 $$\large{\int \frac{\sin (\log x)}{x} \hspace{1pt} dx= -\cos (\log x) + C}$$ となります。
【解答と解説】
本問は、特別な置き換えを必要とする置換積分法の問題です。
問題のような \(\displaystyle\large{\int \sqrt{a^2-x^2} \hspace{1pt} dx}\) の形式の場合、\(\large{x= a \sin t}\) と置き換えることで計算できます。(パターン④:特別な置き換えをする積分)
\(\large{x= 2 \sin t}\) とおきます。
変数\(\large{x}\) の範囲に対応する変数\(\large{t}\) を求めると、以下のようになります。
\(\large{x}\) | \(\large{0 \to 2}\) |
---|---|
\(\large{t}\) | \(\displaystyle\large{0 \to \frac{\pi}{2}}\) |
\(\large{x= 2 \sin t}\) の両辺を \(\large{t}\) で微分すると、三角関数の微分公式から $$\large{\frac{dx}{dt} = 2\cos t}$$ となります。すなわち、\(\displaystyle\large{dx = 2 \cos t \hspace{1pt} dt}\) と表せます。
したがって、問題の定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int_0^2 \sqrt{4-x^2} \hspace{1pt} dx &\large =&\large 2\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{4-4 \sin^2 t} \hspace{1pt}\cos t \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \sqrt{1- \sin^2 t} \cos t \hspace{1pt} dt\\[0.5em] \large &\large =&\large 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^2 t \hspace{1pt} dt\\[0.5em] \end{eqnarray} ここで、半角の公式 $$\large{\cos^2 t = \frac{1+\cos 2t}{2}}$$ より変形すると、 \begin{eqnarray} \large 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \cos^2 t \hspace{1pt} dt &\large =&\large 4\int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{1+ \cos 2t}{2} \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large 2 \hspace{1pt}[\hspace{2pt}t + \frac{1}{2}\sin 2t\hspace{2pt}]_0^{\frac{\pi}{2}}\\[0.5em] \large &\large =&\large 2(\hspace{1pt}\frac{\pi}{2}-0) + \sin \pi - \sin 0\hspace{1pt}\\[0.5em] \large &\large =&\large \pi\\[0.5em] \end{eqnarray} したがって、 $$\large{\int_0^2 \sqrt{4-x^2} \hspace{1pt} dx = \pi}$$
【解答と解説】
本問は、特別な置き換えを必要とする置換積分法の問題です。
問題のような \(\displaystyle\large{\int \frac{1}{a^2 + x^2} \hspace{1pt} dx}\) の形式の場合、\(\large{x= a \tan t}\) と置き換えることで計算できます。(パターン④:特別な置き換えをする積分)
\(\large{x= 3 \tan t}\) とおきます。
変数\(\large{x}\) の範囲に対応する変数\(\large{t}\) の範囲を求めると、以下のようになります。
\(\large{x}\) | \(\large{0 \to 3}\) |
---|---|
\(\large{t}\) | \(\displaystyle\large{0 \to \frac{\pi}{4}}\) |
\(\large{x= 3 \tan t}\) の両辺を \(\large{t}\) で微分すると、三角関数の微分公式から $$\large{\frac{dx}{dt} = 3\frac{1}{\cos^2 t}}$$ となります。すなわち、\(\displaystyle\large{dx = \frac{3}{\cos^2 t} dt}\) と表せます。
したがって、問題の定積分は以下のように計算されます。 \begin{eqnarray} \large \int_0^3 \frac{1}{9 + x^2} \hspace{1pt} dx &\large =&\large 3\int_0^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{9 + 9 \tan^2 t} \hspace{1pt} \frac{1}{\cos^2 t} \hspace{1pt} dt \\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{3}\int_0^{\frac{\pi}{4}} \frac{1}{1 + \tan^2 t} \hspace{1pt} \frac{1}{\cos^2 t} \hspace{1pt} dt\\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{3}\int_0^{\frac{\pi}{4}} \cos^2 t \hspace{1pt} \frac{1}{\cos^2 t} \hspace{1pt} dt\\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{3}\int_0^{\frac{\pi}{4}} 1\hspace{1pt} dt\\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{3} \hspace{1pt} [\hspace{1pt} t \hspace{1pt}]_0^{\frac{\pi}{4}}\\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{3} (\frac{\pi}{4}-0)\\[0.5em] \large &\large =&\large \frac{1}{12 \pi} \\[0.5em] \end{eqnarray}