本項では、『関数の連続』 と 『微分可能性』や 問題の解き方について解説します。
関数が連続であるとは、『関数のグラフが切れずにつながっている』ことを表します。
関数 \(\large{f(x)}\) が \(\large{x=a}\) で連続であるとき、以下が成り立ちます。
定義域のすべての点で連続である関数を連続関数といいます。
例えば、\(\large{y=x}\) や \(\large{y=\sin x}\) などは連続関数です。
また、\(\large{x=a}\) で関数が連続していなければ、『\(\large{\boldsymbol{x=a}}\) で不連続』といいます。
関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|}\) は、以下のようなグラフの形状をしています。
上図の関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|}\) は \(\large{x=0}\) において連続かを調べます。
右側極限は $$\large{\lim_{x \to +0} |x| = \lim_{x \to +0} x =0}$$ 左側極限は $$\large{\lim_{x \to -0} |x| = \lim_{x \to -0} (-x) =0}$$ したがって、\(\displaystyle\large{\lim_{x \to 0} |x| = 0}\) となります。
また、\(\large{f(0)=0}\) であるため $$\large{\lim_{x \to 0} |x| = f(0)}$$ が成り立つことから、関数 \(\large{f(x) = |x|}\) は \(\large{x=0}\) において連続する関数です。
関数が微分可能であるとは、『関数のグラフが滑らかにつながっている』ことを表します。
関数 \(\large{f(x)}\) が \(\large{x=a}\) で微分可能であるとき、以下が成り立ちます。
関数 \(\large{f(x)}\) が \(\large{x=a}\) で微分係数が存在するとき、『関数\(\large{f(x)}\)は \(\large{x=a}\) で微分可能』といいます。
関数の連続 と 微分可能性 には、以下のような関係があります。
一方、『関数 \(\large{y=f(x)}\) が \(\large{x=a}\) で連続であっても、\(\displaystyle\large{x=a}\) で微分可能とは限らない』という点に注意が必要です。
【解答と解説】
関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|}\) は、以下のようなグラフの形状をしています。
例題1で調べたように、関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|}\) は $$\large{\lim_{h \to a}f(a) = f(0)=0}$$ であるため、\(\large{x=0}\) において連続する関数です。
関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|}\) が \(\large{x=0}\) で微分可能かを調べるため、右微分係数\(\large{f'_+(0)}\) と 左微分係数\(\large{f'_-(0)}\) を求めます。
\(\large{x=0}\) における右微分係数を求めると \begin{eqnarray} \large f'_+(0) &\large =&\large\lim_{h \to +0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to +0}\frac{|h|}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to +0}\frac{h}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large 1 \\[0.5em] \end{eqnarray} となります。
一方、\(\large{x=0}\) における左微分係数を求めると \begin{eqnarray} \large f'_-(0) &\large =&\large\lim_{h \to -0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}\frac{|h|}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}\frac{-h}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large -1 \\[0.5em] \end{eqnarray} となります。
したがって、右微分係数\(\large{f'_+(0)}\) と 左微分係数\(\large{f'_-(0)}\) が一致しないため、関数 \(\large{y=|x|}\) は \(\large{x=0}\) において微分可能ではないことが分かります。
本章では、関数の連続 と 微分可能性 に関連した問題について解説します。
問題1 は、関数の連続と微分可能性を調べる問題です。
(解答と解説 : 問題1)
問題2 は、微分可能性の条件から、関数の定数を決定する問題です。
(解答と解説 : 問題2)
関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|(x-1)}\) は、以下のようなグラフの形状をしています。
まず、関数 \(\displaystyle \large{f(x)=|x|(x-1)}\) は \(\large{x=0}\) において連続かを調べます。
右側極限は $$\large{\lim_{x \to +0} |x|(x-1) = \lim_{x \to +0} x(x-1) =0}$$ 左側極限は $$\large{\lim_{x \to -0} |x|(x-1) = \lim_{x \to -0} -x(x-1) =0}$$ であるため、極限 \(\displaystyle\large{\lim_{x \to 0} |x|(x-1) = 0}\) となります。
\(\large{f(0)=0}\) であるため、 $$\large{\lim_{x \to 0} |x|(x-1) = f(0)}$$ が成り立つため、関数 \(\large{f(x) = |x|(x-1)}\) は \(\large{x=0}\) において連続する関数です。
次に、微分可能性について調べます。
\(\large{x=0}\) における右微分係数を求めると
\begin{eqnarray}
\large
f'_+(0) &\large =&\large\lim_{h \to +0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em]
\large
&\large =&\large \lim_{h \to +0}\frac{|h|(h-1)}{h} \\[0.5em]
\large
&\large =&\large \lim_{h \to +0}\frac{h(h-1)}{h} \\[0.5em]
\large
&\large =&\large \lim_{h \to +0}(h-1) \\[0.5em]
\large
&\large =&\large -1 \\[0.5em]
\end{eqnarray}
となります。
一方、\(\large{x=0}\) における左微分係数を求めると \begin{eqnarray} \large f'_-(0) &\large =&\large\lim_{h \to -0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}\frac{|h|(h-1)}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}\frac{-h(h-1)}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}(-h+1) \\[0.5em] \large &\large =&\large 1 \\[0.5em] \end{eqnarray} となります。
したがって、右微分係数は \(\large{f'_+(0)=-1}\)、左微分係数は \(\large{f'_-(0)=1}\) であり一致しないため、関数 \(\large{y=|x|(x-1)}\) は \(\large{x=0}\) において微分可能ではないことが分かります。
【解答と解説】
まず、関数 \(\large{f(x)=x^2+ax+b}\) と 関数 \(\large{f(x)=\sin x}\) が \(\large{x=0}\) で連続であるとき、
$$\large{\lim_{x \to +0} f(x)} = \large{\lim_{x \to -0} f(0)} = f(0)$$
が成り立ちます。
$$\large{\lim_{x \to +0} f(x) =\lim_{x \to +0} (x^2+ax+b) = b}$$ $$\large{\lim_{x \to -0} f(x) = \lim_{x \to +0} (\sin x) =0}$$ であることから、 $$\large{b=0}$$ となります。
次に、\(\large{x=0}\) において微分可能であるとき、右微分係数\(\large{f'_+(0)}\) と 左微分係数\(\large{f'_-(0)}\) が一致することを利用して定数を求めます。
\(\large{x=0}\) における右微分係数を求めると \begin{eqnarray} \large f'_+(0) &\large =&\large\lim_{h \to +0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to +0}\frac{h^2 + ah}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to +0}(h+a) \\[0.5em] \large &\large =&\large a \\[0.5em] \end{eqnarray} となります。
一方、\(\large{x=0}\) における左微分係数を求めると \begin{eqnarray} \large f'_-(0) &\large =&\large\lim_{h \to -0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h}\\[0.5em] \large &\large =&\large \lim_{h \to -0}\frac{\sin h}{h} \\[0.5em] \large &\large =&\large 1 \\[0.5em] \end{eqnarray} となります。
(計算過程で 三角関数の極限 \(\large{\displaystyle\lim_{x \to 0} \frac{\sin x}{x} = 1}\) を利用しています。)
したがって、関数\(\large{f(x)}\) の右微分係数\(\large{f'_+(0)}\) と 左微分係数 \(\large{f'_-(0)}\) が一致するとき、 $$\large{a=1}$$ となります。
よって、求める定数は \(\large{a=1\hspace{1pt},\hspace{3pt}b=0}\) となります。
求められた定数を使用した 関数 \(\large{f(x)=x^2+x}\) \(\large{(x \geqq 0)}\) と 関数 \(\large{f(x)=\sin x}\) \(\large{(x < 0)}\) のグラフを描くと 以下のようになります。