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軸が動く二次関数の最大値・最小値

本項では、以下の軸が定数となる二次関数の問題について解説します。

問題(1)
\(\large{x}\) の定義域が \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) であるとき、
\(\large{y=(x-a)^2+2}\) の最大値・最小値を求めよ。
問題(2)
\(\large{x}\) の定義域が \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) であるとき、
\(\large{y=-x^2+2ax-a^2-1}\) の最大値・最小値を求めよ。

問題(1)下に凸 (\(\large{x^2}\)の係数が正) の場合、
問題(2)上に凸 (\(\large{x^2}\)の係数が負) の場合の問題です。

【1】軸が動く二次関数 (下に凸の場合)

以下のような 定数\(\large{a}\) を含む 二次関数の最大値・最小値 の問題について解説します。

問題(1)
\(\large{x}\) の定義域が \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) であるとき、
\(\large{y=(x-a)^2+2}\) の最大値・最小値を求めよ。

問題の二次関数は、頂点が \(\large{(a,\hspace{1pt}2)}\)、軸が \(\large{x=a}\) となります。

二次関数の最大値・最小値は、軸の位置 (\(\large{x=a}\)) と 定義域 (\(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\)) の位置関係によって決まるため、定数\(\large{a}\) の値によって場合分けをして 問題を解く必要があります。

問題(1)の軸が動く場合の二次関数の最大値・最小値 は、軸の位置 (\(\large{x=a}\))、定義域 (\(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\)) に対して 以下の①~⑤の5つに場合分けされます。

(下図では、定義域の範囲をピンク色、軸を緑色で描いています。) 軸が動く二次関数の問題の解法_定数aによる場合分け

軸が動く二次関数の問題の解法_定数aによる場合分け_(2)

上記の 定数\(\large{a}\) と 軸の関係をまとめると、以下のようになります。

\(\large{a}\) の条件 軸の位置
 ①\(\large{\hspace{2pt}a\leqq0}\)   定義域外で左側
 ②\(\large{\hspace{2pt}0 < a < 1}\)   定義域内で左寄り
 ③\(\large{\hspace{2pt}a =1}\)   定義域の中間
 ④\(\large{\hspace{2pt}1 < a < 2}\)   定義域内で右寄り
 ⑤\(\large{\hspace{2pt}a\geqq2}\)   定義域外で右側

上記のように、軸の位置を①~⑤に場合分けすることで 問題を解いていきます。

① a ≦ 0 の場合 (軸が定義域外で左側)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) の左側である場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aが0以下の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域の左側に位置するため、最小値は定義域の左側 (\(\large{x=0}\))、最大値は定義域の右側 (\(\large{x=2}\)) でとります。

したがって、
・\(\large{x=0}\) のとき最小値 \(\large{a^2+2}\)
・\(\large{x=2}\) のとき最大値 \(\large{a^2-4a+6}\)
となります。

② 0 < a < 1 の場合 (軸が定義域内で左寄り)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) に含まれ、軸が定義域の左寄りの場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aが0<a<1の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域に含まれるため、最小値は頂点 (\(\large{a,\hspace{1pt}2}\)) となります。

また、定義域のうち頂点から遠い側の端が最大値となるため、右側 (\(\large{x=2}\)) で最大値をとります。

したがって、
・\(\large{x=a}\) のとき最小値 \(\large{2}\)
・\(\large{x=2}\) のとき最大値 \(\large{a^2-4a+6}\)
となります。

③ a = 1 の場合 (軸が定義域の中間)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) の中間である場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aがa=1の場合)

このとき、頂点が定義域に含まれることから、最小値は頂点 \(\large{(a,\hspace{1pt}2)=(1,\hspace{1pt}2)}\) となります。

また、頂点が定義域の中間に位置することから、最大値は、\(\large{x=0,\hspace{2pt}2}\) の2点でとります。

したがって、
・\(\large{x=1}\) のとき最小値 \(\large{2}\)
・\(\large{x=0,\hspace{2pt}2}\) のとき最大値 \(\large{3}\)
となります。

④ 1 < a < 2 の場合 (軸が定義域内で右寄り)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) の含まれ、軸が定義域の右寄りの場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aが1<a<2の場合)

このとき、頂点が定義域に含まれることから、最小値は頂点 \(\large{(a,\hspace{1pt}2)}\) となります。

また、定義域のうち頂点から遠い側の端が最大値となるため、左側 (\(\large{x=0}\)) で最大値をとります。

したがって、
・\(\large{x=a}\) のとき最小値 \(\large{2}\)
・\(\large{x=0}\) のとき最大値 \(\large{a^2+2}\)
となります。

⑤ a ≧ 2 の場合 (軸が定義域外で右側)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{0\leqq x \leqq 2}\) の右側の場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aがa>=2の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域の右側に位置するため、最小値は定義域の右側 (\(\large{x=2}\))、最大値は定義域の左側 (\(\large{x=0}\)) でとります。

したがって、
・\(\large{x=2}\) のとき最小値 \(\large{a^2-4a+6}\)
・\(\large{x=0}\) のとき最大値 \(\large{a^2+2}\)
となります。

上記の①~⑤の結果をまとめると以下のようになります。

 ① \(\large{a\leqq0\hspace{1pt}}\) のとき
  \(\large{x=0}\) で最小値 \(\large{a^2+2}\)
  \(\large{x=2}\) で最大値 \(\large{a^2-4a+6}\)

 ② \(\large{0 < a < 1\hspace{1pt}}\) のとき
  \(\large{x=a}\) で最小値 \(\large{2}\)
  \(\large{x=2}\) で最大値 \(\large{a^2-4a+6}\)

 ③ \(\large{a=1\hspace{1pt}}\) のとき
  \(\large{x=1}\) で最小値 \(\large{2}\)
  \(\large{x=0,\hspace{2pt}2}\) で最大値 \(\large{3}\)

 ④ \(\large{1 < a < 2\hspace{1pt}}\) のとき
  \(\large{x=a}\) で最小値 \(\large{2}\)
  \(\large{x=0}\) で最大値 \(\large{a^2+2}\)

 ⑤ \(\large{a \geqq 2\hspace{1pt}}\) のとき
  \(\large{x=2}\) で最小値 \(\large{a^2-4a+6}\)
  \(\large{x=0}\) で最大値 \(\large{a^2+2}\)

【2】軸が動く二次関数 (上に凸の場合)

次に、以下のような 定数\(\large{a}\) を含む 二次関数の最大値・最小値 の問題について解説します。

問題(2)
\(\large{x}\) の定義域が \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) であるとき、
\(\large{y=-x^2+2ax-a^2-1}\) の最大値・最小値を求めよ。

まず、問題の二次関数を平方完成して、軸と頂点を求めます。

$$\large{y=-x^2+2ax-a^2-1}$$ を平方完成すると、 $$\large{y=-(x-a)^2-1}$$ したがって、問題の二次関数は 軸が \(\large{x=a}\)、頂点が \(\large{(a,-1)}\) の二次関数であることが分かります。

また、問題の二次関数は、\(\large{x^2}\) の符号が負のため、上に凸の二次関数となります。
問題(1)は下に凸の二次関数でしたが、上に凸の場合も同様の方法で 以下の①~⑤の5つに場合分けをして解いていきます。

\(\large{a}\) の条件 軸の位置
 ①\(\large{\hspace{2pt}a\leqq-1}\)   定義域外で左側
 ②\(\large{\hspace{2pt}-1 < a < 0}\)   定義域内で左寄り
 ③\(\large{\hspace{2pt}a =0}\)   定義域の中間
 ④\(\large{\hspace{2pt}0 < a < 1}\)   定義域内で右寄り
 ⑤\(\large{\hspace{2pt}a\geqq1}\)   定義域外で右側

上記の表のように、軸の位置を①~⑤に場合分けして問題を解いていきます。

① a ≦ -1 の場合 (軸が定義域外で左側)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) の外側であり、左側の場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aがa<=-1の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域の左側に位置するため、最小値は定義域の右側 (\(\large{x=1}\))、最大値は定義域の左側 (\(\large{x=-1}\)) でとります。

したがって、
・\(\large{x=1}\) のとき最小値 \(\large{-a^2+2a-2}\)
・\(\large{x=-1}\) のとき最大値 \(\large{-a^2-2a-2}\)
となります。

② -1 < a < 0 の場合 (軸が定義域内で左寄り)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) に含まれ、軸が定義域の左側の端 \(\large{x=-1}\) に近い場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aが-1<a<0の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域内に位置するため、最大値は頂点(\(\large{a,\hspace{1pt}-1}\)) となります。

また、定義域のうち頂点から遠い側の端が最小値となるため、最小値は \(\large{x=1}\) でとります。

したがって、
・\(\large{x=1}\) のとき最小値 \(\large{-a^2+2a-2}\)
・\(\large{x=a}\) のとき最大値 \(\large{-1}\)
となります。

③ a = 0 の場合 (軸が定義域の中間)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) の中間である場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aがa=0の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域に含まれるため、最大値は頂点 \(\large{(a,\hspace{1pt}-1)=(0,\hspace{1pt}-1)}\) となります。

また、頂点が定義域の中間にあるため、定義域の両端 (\(\large{x=-1,\hspace{1pt}1}\)) で最小値をとります。

したがって、
・\(\large{x=-1,\hspace{2pt}1}\) のとき最小値 \(\large{-2}\)
・\(\large{x=0}\) のとき最大値 \(\large{-1}\)
となります。

④ 0 < a < 1 の場合 (軸が定義域内で右寄り)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) の含まれ、軸が定義域の右側である \(\large{x=1}\) に近い場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aが0<a<1の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域内に位置するため、最大値は頂点(\(\large{a,\hspace{1pt}-1}\)) となります。

また、定義域のうち頂点から遠い側の端が最小値となるため、最小値は \(\large{x=-1}\) でとります。

したがって、
・\(\large{x=-1}\) のとき最小値 \(\large{-a^2-2a-2}\)
・\(\large{x=a}\) のとき最大値 \(\large{-1}\)
となります。

⑤ a ≧ 1 の場合 (軸が定義域外で右側)

軸\(\large{\hspace{1pt}(x=a\hspace{1pt})}\) の位置が定義域 \(\displaystyle \large{-1\leqq x \leqq 1}\) の外側であり、右側の場合のグラフを下図に示します。 軸が動く二次関数の最大値・最小値(定数aがa>=1の場合)

このとき、二次関数の頂点が定義域の右側に位置するため、最大値は定義域の右側 (\(\large{x=1}\))、最小値は定義域の左側 (\(\large{x=-1}\)) でとります。

したがって、
・\(\large{x=-1}\) のとき最小値 \(\large{-a^2-2a-2}\)
・\(\large{x=1}\) のとき最大値 \(\large{-a^2+2a-2}\)
となります。

上記の①~⑤の結果をまとめると以下のようになります。

 ① \(\large{a\leqq-1\hspace{1pt}}\) のとき
  ・\(\large{x=1}\) で最小値 \(\large{-a^2+2a-2}\)
  ・\(\large{x=-1}\) で最大値 \(\large{-a^2-2a-2}\)

 ② \(\large{-1 < a < 0\hspace{1pt}}\) のとき
  ・\(\large{x=1}\) で最小値 \(\large{-a^2+2a-2}\)
  ・\(\large{x=a}\) で最大値 \(\large{-1}\)

 ③ \(\large{a=0\hspace{1pt}}\) のとき
  ・\(\large{x=-1,\hspace{2pt}1}\) で最小値 \(\large{-2}\)
  ・\(\large{x=0}\) で最大値 \(\large{-1}\)

 ④ \(\large{0 < a < 1\hspace{1pt}}\) のとき
  ・\(\large{x=-1}\) で最小値 \(\large{-a^2-2a-2}\)
  ・\(\large{x=a}\) で最大値 \(\large{-1}\)

 ⑤ \(\large{a \geqq 1\hspace{1pt}}\) のとき
  ・\(\large{x=-1}\) で最小値 \(\large{-a^2-2a-2}\)
  ・\(\large{x=1}\) で最大値 \(\large{-a^2+2a-2}\)


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