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二次方程式の解の公式

【1】二次方程式の解の公式

解の公式とは、二次方程式の解を求める公式です。
二次方程式が \(\large{ax^2 +bx+c=0}\) (\(\large{a \neq 0}\)) と表されるとき、以下の解の公式により計算することができます。

【解の公式】
\(\displaystyle \large{x = \frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a}}\)

・例題①

例えば、以下のような二次方程式の解を求める問題を解くとします。

【例題①】
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{x^2 +3x+2=0}\)

上記の解の公式に \(\large{a=1,\hspace{2pt}b=3,\hspace{2pt}c=2}\) を代入し、 $$\large{x=\frac{-3 \pm \sqrt{3^2 -4 \times 1 \times 2}}{2 \times 1}=\frac{-3 \pm 1}{2}}$$ すなわち、求める解は $$\large{x=-1,-2}$$ と解を求めることができます。

ここで、二次方程式 \(\large{x^2 +3x+2=0}\) は、\(\large{(x+1)(x+2)=0}\) と因数分解できるため、解の公式を用いなくても解を求めることができます。

しかし、二次方程式は簡単に因数分解できない場合も多く、その場合は解の公式から解を求める必要があります。

・例題②

【例題②】
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{x^2 +3x +1=0}\)

上記の解の公式に \(\large{a=1,\hspace{2pt}b=3,\hspace{2pt}c=1}\) を代入し、 $$\large{x=\frac{-3 \pm \sqrt{3^2 -4 \times 1 \times 1}}{2 \times 1}=\frac{-3 \pm \sqrt{5}}{2}}$$ すなわち、求める解は $$\large{x=\frac{-3 + \sqrt{5}}{2},\hspace{1pt}\frac{-3 - \sqrt{5}}{2}}$$ と解を求めることができます。

解の公式を使うべきかの見分け方は、まず \(\large{\sqrt{b^2-4ac}}\) を計算してみて、ルートが残る場合は解の公式が有効と判断できます。

例えば、上記の例題②では \(\large{\sqrt{b^2-4ac} = \sqrt{5}}\) となり、解にルートが残ります。このような解を持つ二次方程式は、因数分解から解を求めることが難しいため、解の公式が有効です。

【2】bが偶数のときの解の公式

二次方程式の \(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数であるとき、\(\large{b}\) を \(\large{2}\) で割った値を \(\large{b\hspace{1pt}'}\) とします。
このとき、以下の解の公式が使用されます。

【bが偶数のときの解の公式】
\(\large{y=ax^2 + \color{blue}{2b\hspace{1pt}'}\color{black}{}x+c}\)のとき
\(\displaystyle \large{x = \frac{-\color{blue}{b'}\color{black}{} \pm \sqrt{\color{blue}{b\hspace{1pt}'\hspace{1pt}}\color{black}{}{^2} -ac}}{a}}\)

上記の『\(\large{b}\) が偶数のときの解の公式』を使用することで、解を求める計算を簡単にすることができます。

・例題③

例えば、以下のような \(\large{x}\) の係数が偶数であるときに、上記の公式が使用できます。

【例題③】
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{x^2 +6x -1=0}\)

上記の『\(\large{b}\) が偶数のときの解の公式』に \(\large{a=1,\hspace{2pt}\color{blue}{b\hspace{1pt}'=3}\color{black}{},\hspace{2pt}c=-1}\) を代入し、 $$\large{x=\frac{-\color{blue}{3}\color{black}{} \pm \sqrt{\color{blue}{3}\color{black}{}^2 - 1 \times (-1)}}{ 1}=-3 \pm \sqrt{10}}$$ すなわち、求める解は $$\large{x=-3+\sqrt{10},\hspace{1pt}-3-\sqrt{10}}$$ と解を求めることができます。

・通常の解の公式との比較

上記の例題③において、通常の解の公式を使用した場合と比較します。

通常の解の公式 $$\large{x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a}}$$ に \(\large{a=1,\hspace{2pt}b=6,\hspace{2pt}c=-1}\) を代入して計算します。

\begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-6 \pm \sqrt{6^2 -4 \times 1 \times (-1)}}{2 \times 1}\\[0.5em] \large &\large=&\large \frac{-6 \pm 2\sqrt{10}}{2}\\[0.5em] \large &\large=&\large -3 \pm \sqrt{10} \\ \end{eqnarray} と計算されます。

結果は同じですが、『\(\large{b}\) が偶数のときの解の公式』の方が、計算過程で約分する手間が省けていることが分かります。

【3】解の公式の証明

解の公式は、二次方程式を \(\large{x}\) について解くことで証明することができます。

まず、二次方程式 \(\large{ax^2+bx+c = 0}\) (\(\large{b^2-4ac \geqq 0 }\)とする) を以下の手順で平方完成します。 \begin{eqnarray} \large a \left(x^2+\frac{b}{a}x \right) +c&\large=&\large 0\\ \large a \left \lbrace x^2+\frac{b}{a}x +\left( \frac{b}{2a} \right)^2 -\left( \frac{b}{2a} \right)^2 \right \rbrace +c &\large=&\large 0\\ \large a \left(x+\frac{b}{2a} \right)^2 -\frac{b^2 -4ac}{4a} &\large=&\large 0 \end{eqnarray}

上式から、\(\large{x}\)について解きます。 \begin{eqnarray} \large \left(x+\frac{b}{2a} \right)^2 &\large=&\large \frac{b^2 -4ac}{4a^2}\\ \large x &\large=&\large -\frac{b}{2a}\pm {\frac{\sqrt{b^2 -4ac}}{2a}}\\ \large x &\large=&\large\frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \end{eqnarray}

以上より、解の公式を導くことができます。

・解の公式(bが偶数の場合)の導出

二次方程式 \(\large{ax^2+bx+c = 0}\) の \(\large{x}\) の係数が偶数 \(\large{(b=2b\hspace{1pt}')}\) であるとき、解の公式は以下の式で表されます。 $$\large{x = \frac{-b' \pm \sqrt{b\hspace{1pt}'\hspace{1pt}^2 -ac}}{a}}$$

この式は、解の公式において \(\large{b=2b\hspace{1pt}'}\) と置くことで求められます。 \begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a}\\[0.5em] \large &\large=&\large\frac{-2b\hspace{1pt}' \pm \sqrt{(2b\hspace{1pt}'\hspace{1pt})^2 -4ac}}{2a}\\[0.5em] \large &\large=&\large\frac{-2b\hspace{1pt}' \pm 2\sqrt{(b\hspace{1pt}'\hspace{1pt})^2 -ac}}{2a}\\[0.5em] \large &\large=&\large\frac{-b\hspace{1pt}' \pm \sqrt{{b\hspace{1pt}'\hspace{1pt}}^2 -ac}}{a}\\ \end{eqnarray}

以上より、『\(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数のときの解の公式』を導くことができます。

【4】解の公式の問題と解き方

本章では、二次方程式の解の公式の問題と解き方について解説します。

【問題】
次の二次方程式の解を求めよ。
\begin{eqnarray} &&\large (1)\hspace{10pt}2x^2+5x+3 = 0\\[0.7em] &&\large (2)\hspace{7pt}-3x^2+8x-1 = 0\\[0.7em] &&\large (3)\hspace{10pt}2x^2+\sqrt{3}x-5 = 0\\[0.7em] &&\large (4)\hspace{10pt}\frac{2}{3}x^2+\frac{1}{2}x-\frac{1}{4} = 0\\[0.7em] \end{eqnarray}

問題(1)~(4)は、解の公式を利用して 解を求める基本的な問題です。
(解答と解説 : 問題(1) 問題(2) 問題(3) 問題(4))

【問題】
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{(5)\hspace{5pt}x^2-5x + |x-2|-1 = 0}\)

問題(5)は、絶対値を含んだ二次方程式に、解の公式を使用する問題です。
(解答と解説 : 問題(5))

問題(1) 解の公式

問題(1)
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{2x^2+5x+3 = 0}\)

与えられた二次方程式に解の公式を使用します。 解の公式は、 $$\large{x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a}}$$ であり、上式に \(\large{a=2,\hspace{2pt}b=5,\hspace{2pt}c=3}\) を代入します。 \begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-5 \pm \sqrt{5^2 -4\times2\times3}}{2\times2}\\ \large &\large=&\large\frac{-5 \pm 1}{4}\\ \end{eqnarray}

したがって、求める解は $$\large{x=-1, -\frac{3}{2}}$$

問題(2) 解の公式

問題(2)
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{-3x^2+8x-1 = 0}\)

与えられた二次方程式に解の公式を使用します。
\(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数であるため、\(\large{b=2 b\hspace{1pt}'}\) として、以下の解の公式を使用します。 $$\large{x=\frac{-b' \pm \sqrt{{b\hspace{1pt}'}^{\hspace{1pt}2} -ac}}{a}}$$ 上式に \(\large{a=-3,\hspace{2pt}b'=4,\hspace{2pt}c=-1}\) を代入します。

\begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-4 \pm \sqrt{4^2 -(-3) \times (-1)}}{-3}\\ \large &\large=&\large\frac{4 \pm \sqrt{13}}{3}\\ \end{eqnarray}

したがって、求める解は $$\large{x=\frac{4+ \sqrt{13}}{3}, \frac{4- \sqrt{13}}{3}}$$

問題(3) 解の公式

問題(3)
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\large{2x^2+\sqrt{3}x-5 = 0}\)

与えられた二次方程式に解の公式を使用します。 解の公式は、 $$\large{x=\frac{-b \pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a}}$$ であり、上式に \(\large{a=2,\hspace{2pt}b=\sqrt{3},\hspace{2pt}c=-5}\) を代入します。 \begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-\sqrt{3} \pm \sqrt{3 -4\times 2 \times (-5)}}{2\times2}\\ \large &\large=&\large\frac{-\sqrt{3} \pm \sqrt{43}}{4}\\ \end{eqnarray}

したがって、求める解は $$\large{x=\frac{-\sqrt{3} + \sqrt{43}}{4},\hspace{1pt}\frac{-\sqrt{3} - \sqrt{43}}{4}}$$

問題(4) 解の公式

問題(4)
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\displaystyle\large{\frac{2}{3}x^2+\frac{1}{2}x-\frac{1}{4} = 0}\)

まず、問題の方程式の両辺に \(\large{12}\) をかけて整理すると、 $$\large{8x^2+6x-3 = 0}$$ となります。

上式は、\(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数であるため、\(\large{b=2 b\hspace{1pt}'}\) として、以下の解の公式を使用します。 $$\large{x=\frac{-b\hspace{1pt}' \pm \sqrt{{b\hspace{1pt}'}^{\hspace{1pt}2} -ac}}{a}}$$ 上式に \(\large{a=8,\hspace{2pt}b\hspace{1pt}'=3,\hspace{2pt}c=-3}\) を代入します。

\begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-3 \pm \sqrt{3^2 -8 \times (-3)}}{8}\\ \large &\large=&\large\frac{-3 \pm \sqrt{33}}{8}\\ \end{eqnarray}

したがって、求める解は $$\large{x=\frac{-3+ \sqrt{33}}{8}, \frac{-3- \sqrt{33}}{8}}$$

問題(5) 絶対値を含む二次方程式

問題(5)
次の二次方程式の解を求めよ。
\(\displaystyle\large{x^2-5x + |x-2|-1 = 0}\)

まず、問題の二次方程式には絶対値が含まれているため、場合分けをして絶対値を外します。

◆【\(\large{\boldsymbol{x \geqq 2}}\) の場合

\(\large{x \geqq 2}\) のとき、\(\large{x-2 \geqq 0}\) であるから、\(\large{|x-2|=x-2}\) となります。

したがって、問題の二次方程式は $$\large{x^2-5x + x-2-1 = 0}$$ すなわち、 $$\large{x^2-4x -3 = 0}$$ となります。

上式は、\(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数であるため、\(\large{b=2b\hspace{1pt}'}\) として、以下の解の公式を使用します。 $$\large{x=\frac{-b\hspace{1pt}' \pm \sqrt{{b\hspace{1pt}'}^{\hspace{1pt}2} -ac}}{a}}$$ 上式に \(\large{a=1,\hspace{2pt}b\hspace{1pt}'=-2,\hspace{2pt}c=-3}\) を代入します。

\begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-(-2) \pm \sqrt{(-2)^2 -1 \times (-3)}}{1}\\ \large &\large=&\large 2 \pm \sqrt{7}\\ \end{eqnarray}

ここで、\(\large{x \geqq 2}\) を満たす解は $$\large{x=2 + \sqrt{7}}$$ となります。

◆【\(\large{\boldsymbol{x < 2}}\) の場合

\(\large{x < 2}\) のとき、\(\large{x-2 < 0}\) であるから、\(\large{|x-2|=-(x-2)}\) となります。

したがって、問題の二次方程式は $$\large{x^2-5x - (x-2)-1 = 0}$$ すなわち、 $$\large{x^2-6x +1 = 0}$$ となります。

上式は、\(\large{x}\) の係数 \(\large{b}\) が偶数であるため、\(\large{b=2b\hspace{1pt}'}\) として、以下の解の公式を使用します。 $$\large{x=\frac{-b\hspace{1pt}' \pm \sqrt{{b\hspace{1pt}'}^{\hspace{1pt}2} -ac}}{a}}$$ 上式に \(\large{a=1,\hspace{2pt}b\hspace{1pt}'=-3,\hspace{2pt}c=1}\) を代入します。

\begin{eqnarray} \large x &\large=&\large \frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 -1 \times 1}}{1}\\ \large &\large=&\large 3 \pm 2\sqrt{2}\\ \end{eqnarray}

ここで、\(\large{2\sqrt{2} \approx 2.828\cdots}\) であるため、\(\large{x < 2}\) を満たす解は $$\large{x=3-2\sqrt{2}}$$ となります。

以上から、 $$\large{x = 2 + \sqrt{7}\hspace{1pt},\hspace{2pt}3-2\sqrt{2}}$$ が求める解となります。


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