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二次関数の決定

二次関数の決定の問題とは、与えられた条件から二次関数の具体的な係数を求める問題です。

二次関数を決定する問題は、条件に対して適切な式を選択することが重要です。
本項では、問題のパターンに応じた解法について解説します。

【1】二次関数の決定の問題の解法

二次関数の決定の問題は、与えられた条件に対し 適切な式を選択することが重要です。

二次関数を決定するための条件として、主に以下の(Ⅰ)~(Ⅲ)の3つのパターンがあります。 二次関数の決定の問題に使用する式

(Ⅰ) 頂点や軸の位置が与えられた場合

二次関数を決定する条件として 頂点や軸の位置が与えられた場合は、二次関数を平方完成した以下の式で考えます。 $$\large{y=a(x-p)^2 +q}$$ この式の場合、頂点の座標 \(\large{(p,q)}\) を式にそのまま当てはめることができます。
残りの \(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) を別の条件から求めることで、二次関数を決定できます。

(Ⅱ) 3点の座標が与えられた場合

また、グラフが通過する3点の座標が与えられた場合は、二次関数の一般式で考えます。 $$\large{y=ax^2 + bx +c}$$ 3点の座標をそれぞれ上式に代入すると、係数 \(\large{a,b,c}\) に関する3つの方程式が得られます。
得られた式を連立させ係数 \(\large{a,b,c}\) を求めることで、二次関数を決定できます。

(Ⅲ) x軸との交点が与えられた場合

x軸との交点の座標を2点与えられた場合、二次関数を因数分解した形で表します。 $$\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}$$ この式で表す場合、与えられた\(\large{x}\)軸との交点 (\(\large{x=\alpha,\beta}\)) を式の中にそのまま入れることができます。
残りの \(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) を別の条件から求めることで、二次関数を決定できます。

【2】二次関数の決定の問題

本章では、二次関数の決定の問題について解説します。

【2-1】軸・頂点が与えられた場合

【問題.1】
頂点が \(\large{(3,6)}\) で、点 \(\large{(1,-2)}\) を通る二次関数を求めよ。

二次関数の頂点が与えられているため、以下の式で表せます。 $$\large{y=a(x-3)^2+6}$$

点 \(\large{(1,-2)}\) を通るとき、以下が成り立ちます。 $$\large{-2 = a(1-3)^2 +6}$$ $$\large{a=-2}$$ したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-2(x-3)^2+6}$$

【2-2】3点の座標が与えられた場合

【問題.2】
3点\(\large{(-1,-8),\hspace{3pt}(2,-2),\hspace{3pt}(3,-4)}\)を通る二次関数を求めよ。

与えられた条件が3点の座標であるため、以下の二次関数の式を使用します。 $$\large{y=ax^2+bx+c}$$

3点 \(\large{(-1,-8),\hspace{3pt}(2,-2),\hspace{3pt}(3,-4)}\) をそれぞれ上式に代入すると、以下のようになります。 $$\large{-8=a-b+c}\hspace{10pt}\cdots(1)$$ $$\large{-2=4a+2b+c}\hspace{10pt}\cdots(2)$$ $$\large{-4=9a+3b+c}\hspace{10pt}\cdots(3)$$ \(\large{(1)}\)~\(\large{(3)}\) を解いて係数 \(\large{a,b,c}\) を求めます。

\(\large{(1)-(2)}\)から、 $$\large{-6=-3a-3b}\hspace{10pt}\cdots(4)$$ \(\large{(2)-(3)}\)から、 $$\large{2=-5a-b}\hspace{10pt}\cdots(5)$$

\(\large{(4)-3\times (5)}\) より、 $$\large{-12=12a}$$ $$\large{a=-1}$$

\(\large{(5)}\) に \(\large{a=-1}\) を代入して $$\large{2=-5 \times (-1) -b}$$ $$\large{b=3}$$

\(\large{(1)}\) に \(\large{a=-1,b=3}\) を代入して $$\large{-8=-1 -3 +c}$$ $$\large{c=-4}$$

したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-x^2 + 3x -4}$$

【2-3】 x軸との交点が与えられた場合

【問題.3】
3点\(\large{(2,0),\hspace{3pt}(-3,0),\hspace{3pt}(-1,18)}\)を通る二次関数を求めよ。

与えられた3点のうち、\(\large{(2,0),\hspace{3pt}(-3,0)}\) は \(\large{x}\)軸との交点です。
このような点が与えられた場合、\(\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}\) の式を使用することができます。

\(\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}\) の式を使用すると、未知の変数が \(\large{a}\) の1つだけであるため、問題(2)と比較して簡単に二次関数を求めることができます。 $$\large{y=a(x-2)(x+3)}$$ 上式が点 \(\large{(-1,18)}\) を通るとき、以下が成り立ちます。 $$\large{18 = a (-1-2)(-1+3)}$$ $$\large{a=-3}$$

したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-3(x-2)(x+3)}$$

【3】二次関数の決定の応用問題

前章で解説した解法の応用として、"最大値・最小値を含んだ二次関数の決定"や"平行移動を含んだ二次関数の決定"などの問題があります。

本章では、最大値・最小値や、平行移動と関連した問題について解説します。

【3-1】二次関数の決定と最大値・最小値

二次関数の決定に、最大値・最小値を含んだ問題について解説します。(二次関数の最大値・最小値は別ページで解説しています。)

【問題.4】
\(\large{x=2}\) で最小値 \(\large{-3}\) となり、点 \(\large{(-1,15)}\) を通る二次関数を求めよ。

下図のように、定義域が実数全体の二次関数が最小値をもつ場合、\(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) は正符号であり、下に凸の二次関数であることが分かります。 二次関数の決定に最大値・最小値を含んだ問題

また、最小値は頂点の座標に一致するため、以下の式で表せます。 $$\large{y=a(x-2)^2-3}$$

この二次関数が点\(\large{(-1,15)}\)を通るとき、以下の式を満たします。 $$\large{15 = a(-1-2)^2-3}$$ $$\large{a=2}$$

したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=2(x-2)^2-3}$$

【3-2】二次関数の決定と平行移動

二次関数の決定に、平行移動を含んだ問題について解説します。(二次関数の平行移動は別ページで解説しています。)

【問題.5】
\(\large{y=-2x^2 + 5x +1}\) を平行移動させ、点 \(\large{(0,3)}\) と点 \(\large{(-2,-7)}\) を通る二次関数を求めよ。

二次関数を平行移動させた場合でも、\(\large{x^2}\) の係数は変化しません。
したがって、\(\large{x^2}\) の係数である \(\large{-2}\) を使用して、残りの係数を求めます。

求める二次関数を以下の式で表します。 $$\large{y=-2 x^2 +bx +c}$$

この式が点\(\large{(0,3)}\)を通る場合、以下が成り立ちます。 $$\large{c=3}$$

また、点 \(\large{(-2,-7)}\) を通ることを使えば、以下のように\(\large{b}\)が求められます。 $$\large{-7= -2 \times (-2)^2 -2b +3}$$ $$\large{b=1}$$

したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-2 x^2 +x+3}$$


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