二次関数の決定の問題とは、与えられた条件から二次関数の具体的な係数を求める問題です。
二次関数を決定する問題は、条件に対して適切な式を選択することが重要です。
本項では、問題のパターンに応じた解法について解説します。
二次関数の決定の問題は、与えられた条件に対し 適切な式を選択することが重要です。
二次関数を決定するための条件として、主に以下の(Ⅰ)~(Ⅲ)の3つのパターンがあります。
二次関数を決定する条件として 頂点や軸の位置が与えられた場合は、二次関数を平方完成した以下の式で考えます。
$$\large{y=a(x-p)^2 +q}$$
この式の場合、頂点の座標 \(\large{(p,q)}\) を式にそのまま当てはめることができます。
残りの \(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) を別の条件から求めることで、二次関数を決定できます。
また、グラフが通過する3点の座標が与えられた場合は、二次関数の一般式で考えます。
$$\large{y=ax^2 + bx +c}$$
3点の座標をそれぞれ上式に代入すると、係数 \(\large{a,b,c}\) に関する3つの方程式が得られます。
得られた式を連立させ係数 \(\large{a,b,c}\) を求めることで、二次関数を決定できます。
x軸との交点の座標を2点与えられた場合、二次関数を因数分解した形で表します。
$$\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}$$
この式で表す場合、与えられた\(\large{x}\)軸との交点 (\(\large{x=\alpha,\beta}\)) を式の中にそのまま入れることができます。
残りの \(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) を別の条件から求めることで、二次関数を決定できます。
本章では、二次関数の決定の問題について解説します。
二次関数の頂点が与えられているため、以下の式で表せます。 $$\large{y=a(x-3)^2+6}$$
点 \(\large{(1,-2)}\) を通るとき、以下が成り立ちます。 $$\large{-2 = a(1-3)^2 +6}$$ $$\large{a=-2}$$ したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-2(x-3)^2+6}$$
与えられた条件が3点の座標であるため、以下の二次関数の式を使用します。 $$\large{y=ax^2+bx+c}$$
3点 \(\large{(-1,-8),\hspace{3pt}(2,-2),\hspace{3pt}(3,-4)}\) をそれぞれ上式に代入すると、以下のようになります。 $$\large{-8=a-b+c}\hspace{10pt}\cdots(1)$$ $$\large{-2=4a+2b+c}\hspace{10pt}\cdots(2)$$ $$\large{-4=9a+3b+c}\hspace{10pt}\cdots(3)$$ \(\large{(1)}\)~\(\large{(3)}\) を解いて係数 \(\large{a,b,c}\) を求めます。
\(\large{(1)-(2)}\)から、 $$\large{-6=-3a-3b}\hspace{10pt}\cdots(4)$$ \(\large{(2)-(3)}\)から、 $$\large{2=-5a-b}\hspace{10pt}\cdots(5)$$
\(\large{(4)-3\times (5)}\) より、 $$\large{-12=12a}$$ $$\large{a=-1}$$
\(\large{(5)}\) に \(\large{a=-1}\) を代入して $$\large{2=-5 \times (-1) -b}$$ $$\large{b=3}$$
\(\large{(1)}\) に \(\large{a=-1,b=3}\) を代入して $$\large{-8=-1 -3 +c}$$ $$\large{c=-4}$$
したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-x^2 + 3x -4}$$
与えられた3点のうち、\(\large{(2,0),\hspace{3pt}(-3,0)}\) は \(\large{x}\)軸との交点です。
このような点が与えられた場合、\(\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}\) の式を使用することができます。
\(\large{y=a(x-\alpha)(x-\beta)}\) の式を使用すると、未知の変数が \(\large{a}\) の1つだけであるため、問題(2)と比較して簡単に二次関数を求めることができます。 $$\large{y=a(x-2)(x+3)}$$ 上式が点 \(\large{(-1,18)}\) を通るとき、以下が成り立ちます。 $$\large{18 = a (-1-2)(-1+3)}$$ $$\large{a=-3}$$
したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-3(x-2)(x+3)}$$
前章で解説した解法の応用として、"最大値・最小値を含んだ二次関数の決定"や"平行移動を含んだ二次関数の決定"などの問題があります。
本章では、最大値・最小値や、平行移動と関連した問題について解説します。
二次関数の決定に、最大値・最小値を含んだ問題について解説します。(二次関数の最大値・最小値は別ページで解説しています。)
下図のように、定義域が実数全体の二次関数が最小値をもつ場合、\(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) は正符号であり、下に凸の二次関数であることが分かります。
また、最小値は頂点の座標に一致するため、以下の式で表せます。 $$\large{y=a(x-2)^2-3}$$
この二次関数が点\(\large{(-1,15)}\)を通るとき、以下の式を満たします。 $$\large{15 = a(-1-2)^2-3}$$ $$\large{a=2}$$
したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=2(x-2)^2-3}$$
二次関数の決定に、平行移動を含んだ問題について解説します。(二次関数の平行移動は別ページで解説しています。)
二次関数を平行移動させた場合でも、\(\large{x^2}\) の係数は変化しません。
したがって、\(\large{x^2}\) の係数である \(\large{-2}\) を使用して、残りの係数を求めます。
求める二次関数を以下の式で表します。 $$\large{y=-2 x^2 +bx +c}$$
この式が点\(\large{(0,3)}\)を通る場合、以下が成り立ちます。 $$\large{c=3}$$
また、点 \(\large{(-2,-7)}\) を通ることを使えば、以下のように\(\large{b}\)が求められます。 $$\large{-7= -2 \times (-2)^2 -2b +3}$$ $$\large{b=1}$$
したがって、求める二次関数は以下の式となります。 $$\large{y=-2 x^2 +x+3}$$