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二次関数の最大値・最小値の求め方

二次関数の最大値と最小値の求め方について解説します。

二次関数の最大値・最小値を求めるときは、\(\large{x}\)の定義域が重要になります。

本項では、\(\large{x}\)の定義域が
 【1】実数全体
 【2】閉区間\(\large{\hspace{2pt}(a \leqq x \leqq b)\hspace{2pt}}\)
 【3】半開区間\(\large{\hspace{2pt}(a < x \leqq b,\hspace{3pt}a \leqq x < b)\hspace{2pt}}\)
の3つの場合に分けて解説します。

【1】定義域が実数全体の場合

まず、二次関数の定義域が実数全体の場合の最大値・最小値の問題について解説します。

【1-1】定義域が実数全体の場合の解法

\(\large{x}\) の定義域が実数全体の場合、\(\large{x^2}\) の係数 \(\large{a}\) の符号によって、以下の2パターンに分けられます。

\(\large{\boldsymbol{a>0}}\)の場合
二次関数 \(\large{y=a(x-p)^2 + q}\) のグラフは、下に凸の形状となります。
このとき、二次関数は『頂点の座標で最小値』となります。一方、『最大値はなし』となります。

\(\large{\boldsymbol{a < 0}}\)の場合
二次関数 \(\large{y=a(x-p)^2 + q}\) のグラフは、上に凸の形状となります。
このとき、二次関数は『最小値はなし』となります。一方、『頂点の座標で最大値』となります。 二次関数のグラフの平行移動

【1-2】定義域が実数全体の問題

【問題.1】
\(\large{x}\)の定義域が実数全体である場合、\(\large{y=2(x-3)^2 +5}\) の最大値と最小値を求めよ。

二次関数の最大値・最小値の問題は、『\(\large{x^2}\) の係数の正負により、上に凸か、下に凸か判断』、『頂点の座標を確認』、『グラフを作成』などにより解いていきます。

二次関数 \(\large{y=2(x-3)^2 +5}\)は、\(\large{x^2}\) の係数が正であることから下に凸の放物線であり、頂点の座標は\(\large{(3,5)}\)です。
この放物線をグラフに書くと、以下のようになります。
(二次関数のグラフについては別ページで解説しています。) xの定義域が実数全体のときの二次関数の最大値と最小値

上図から頂点で最小値となることがわかります。したがって、『 \(\large{\boldsymbol{x=3}}\) のとき、最小値が \(\large{\boldsymbol{5}}\) 』となります。

一方、最大値は\(\large{x}\)に制限がないため、\(\large{y}\)はどこまでも大きい値をとることができます。
よって、\(\large{x}\)の定義域が実数全体である場合、最大値を決めることができません。

したがって、『最大値はなし』となります。

【2】定義域が閉区間の最大値・最小値

次に、二次関数の定義域が閉区間で与えられている場合について考えます。

閉区間とは、\(\large{a \leqq x \leqq b}\) のように、領域の端のどちらの値も含まれている区間のことをいいます。

【2-1】定義域が閉区間の場合の解法

\(\large{x}\) の定義域が閉区間の場合、 定義域の範囲頂点の位置 によって、最大値、最小値となる箇所が変化します。

・軸が定義域外の場合

\(\large{x}\) の定義域 \(\large{a \leqq x \leqq b}\) の外側に頂点がある場合、下図のように 定義域の端 (\(\large{x=a,b}\)) の座標を求め、大きい方が最大値、小さい方が最小値となります。

・軸が定義域内の場合

下に凸の形状の二次関数であれば、\(\large{x}\) の定義域 \(\large{a \leqq x \leqq b}\) の内側に頂点の \(\large{x}\)座標がある場合、下図のように 頂点の \(\large{y}\)座標が最小値となります。

また、定義域の端 \(\large{x=a}\)、\(\large{x=b}\) を比較して、大きい方が最大値となります。 xの定義域により二次関数の最大値と最小値の求め方を場合分けした図

もしくは、二次関数は頂点(軸)に対して対称的であるため、頂点(軸)から離れている方の定義域の端が最大値と考えることもできます。

【2-2】定義域が閉区間の場合の問題

以下のような問題について考えます。

【問題.2】
\(\large{x}\) の定義域が \(\large{1 \leqq x \leqq 6}\) であるとき、\(\large{y=(x-3)^2 +2}\) の最大値と最小値を求めよ。

二次関数 \(\large{y=(x-3)^2 +2}\)は、下に凸の放物線であり、頂点の座標は\(\large{(3,2)}\)です。
この放物線を\(\large{x}\)の定義域 \(\large{1 \leqq x \leqq 6}\) で描くと、以下の実線のようになります。 xの定義域が閉区間のときの二次関数の最大値と最小値

上図から頂点で最小値となることがわかります。したがって、『 \(\large{\boldsymbol {x=3}}\) のとき、最小値が \(\large{\boldsymbol {2}}\) 』となります。

一方、最大値は定義域(\(\large{1 \leqq x \leqq 6}\))の端である \(\large{x=1}\) もしくは \(\large{x=6}\) のうち大きい方が最大値となります。
それぞれの座標を比較すると、『 \(\large{\boldsymbol {x=6}}\) のとき、最大値が \(\large{\boldsymbol {11}}\) 』となります。

【3】定義域が半開区間の最大値・最小値

次に、二次関数の定義域が半開区間で与えられている場合について考えます。
半開区間とは、\(\large{a \leqq x < b}\) のように片方が範囲の端を含み、片方が範囲の端を含まない区間のことをいいます。

定義域が半開区間のときの解法は、閉区間の場合と同じですが、定義域の端が範囲に含まれない という点が異なります。

【3-1】定義域が半開区間の場合

【問題.3】
\(\large{x}\)の定義域が \(\large{1 \leqq x < 6}\) であるとき、\(\large{y=(x-3)^2 +2}\)の最大値と最小値を求めよ。

上記の二次関数は(問題.2)と同じですが、定義域が \(\large{1 \leqq x < 6}\) であり \(\large{x=6}\) を含まない区間で指定されています。

二次関数 \(\large{y=(x-3)^2 +2}\)は、下に凸の放物線で、頂点は \(\large{(3,2)}\) です。
この放物線を\(\large{x}\)の定義域 \(\large{1 \leqq x < 6}\) で描くと、以下の実線となります。 xの定義域が半開区間のときの二次関数の最大値と最小値

上図より、頂点が最小値となることがわかります。したがって、『 \(\large{\boldsymbol {x=3}}\) のとき、最小値が \(\large{\boldsymbol {2}}\) 』となります。

一方、\(\large{x}\)の定義域である \(\large{1 \leqq x < 6}\) は \(\large{x=6}\) の値を含んでいないため、最大値をとることができません。したがって、『最大値はなし』となります。


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