本項では、『指数関数のグラフの特徴』と『指数関数のグラフの書き方の問題』について解説しています。
\(\large{a>0}\) かつ \(\large{a \neq 0}\) である底 \(\large{a}\) を持つ関数 \(\large{y=a^x}\) を指数関数といいます。
本章では、指数関数のグラフの特徴について解説します。
指数関数のグラフの形状は、底\(\large{a}\) の大きさが『\(\large{\boldsymbol{a > 1}}\) の場合』と、『\(\large{\boldsymbol{ 0 < a < 1}}\) の場合』で分けられます。
\(\large{y=2^x}\), \(\large{y=3^x}\), \(\large{y=1.01^x}\) など、底が \(\large{a > 1}\) の指数関数の場合、単調増加する(\(\large{x}\) が大きくなると、常に \(\large{y}\) の値も大きくなる)という特徴を持ちます。
例えば、以下に \(\displaystyle \large{y=2^x}\) のグラフを示します。
図中の赤い点は \(\large{-3}\) から \(\large{3}\) までの整数 \(\large{x}\) の値を示しています。
\(\large{x}\) | \(\large{-3}\) | \(\large{-2}\) | \(\large{-1}\) | \(\large{0}\) | \(\large{1}\) | \(\large{2}\) | \(\large{3}\) |
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\(\large{y}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{8}}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{4}}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{2}}\) | \(\large{1}\) | \(\large{2}\) | \(\large{4}\) | \(\large{8}\) |
底が \(\large{a > 1}\) の指数関数 \(\large{y=2^x}\) は、単調増加するグラフとなります。
また、指数の計算から、\(\large{2^0=1}\) となるため、指数関数のグラフは『点\(\large{\boldsymbol{(0,1)}}\)を通る』という特徴があります。
点\(\large{(0,1)}\)を通るという性質は、指数関数に共通する特徴であるため、グラフを書くときに覚えておくと便利です。
その他の特徴として、『\(\large{\boldsymbol{x}}\)軸に漸近する』ことや『値域が \(\large{\boldsymbol{y > 0}}\)』という特徴があります。
\(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\), \(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{3}\right)^x}\), \(\large{y=0.99^x}\) など、底が \(\large{0 < a < 1}\) の指数関数の場合、単調減少する(\(\large{x}\) が大きくなると、常に \(\large{y}\) の値も小さくなる)という特徴を持ちます。
例えば、下図に\(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\)のグラフを示します。
図中の赤い点は \(\large{-3}\) から \(\large{3}\) までの整数 \(\large{x}\) の値を示します。
\(\large{x}\) | \(\large{-3}\) | \(\large{-2}\) | \(\large{-1}\) | \(\large{0}\) | \(\large{1}\) | \(\large{2}\) | \(\large{3}\) |
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\(\large{y}\) | \(\large{8}\) | \(\large{4}\) | \(\large{2}\) | \(\large{0}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{2}}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{4}}\) | \(\displaystyle \large{\frac{1}{8}}\) |
底が \(\large{0 < a < 1}\) の指数関数 \(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\) は、単調減少するグラフとなります。
また、底が \(\large{a > 1}\) の指数関数と同様に、\(\large{0 < a < 1}\) の指数関数も『点\(\large{\boldsymbol{(0,1)}}\)を通る』ことが分かります。
その他の特徴として、『\(\large{\boldsymbol{x}}\)軸に漸近する』ことや『値域が \(\large{\boldsymbol{y > 0}}\)』という特徴があります。
以下に \(\large{y=a^x}\) のグラフの特徴についてまとめます。
\(\large{y=a^x}\) のグラフは、底\(\large{a}\) の大きさが 『\(\large{\boldsymbol{a > 1}}\)』 か 『\(\large{\boldsymbol{0 < a < 1 }}\)』 によって単調増加か単調減少かが異なります。
それ以外の、『点\(\large{(0,1)}\)を通る』、『値域は \(\large{y>0}\)』などの特徴は、底\(\large{a}\) の大きさによらず共通しています。
以下に、\(\large{y=2^x}\), \(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\)のグラフを示します。
上図のように、\(\large{y=2^x}\) と \(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\)のグラフは \(\large{y}\)軸に関して対称なグラフとなります。
ここで、指数が負の場合の計算から、\(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x}\) を変形すると、 $$\large{y=\left(\frac{1}{2}\right)^x =\frac{1}{2^x}= 2^{-x}}$$ となり、『\(\large{y=2^x}\)』 と 『\(\large{y=2^{-x}}\)』 は \(\large{x}\) の符号を反転させた関係であるため、 \(\large{y}\)軸に関して対称であることが式からも分かります。
一般的に、\(\large{y=a^x}\) と \(\displaystyle \large{y=\left(\frac{1}{a}\right)^x}\) のグラフは、\(\large{y}\)軸に関して対称なグラフとなります。
指数関数のグラフの書き方の問題を解説します。
【解答と解説】
指数関数のグラフを描くときは、『①特徴的な座標』と『②漸近線の位置』を求めると書きやすいです。
まず、指数計算の \(\large{a^0=1}\) の性質から、与えらえた式は点\(\large{(0,1)}\)を通ります。
また、\(\large{x=1}\) のとき\(\large{y=3}\)、\(\large{x=2}\) のとき\(\large{y=9}\)となるため、点\(\large{(1,3)}\)、点\(\large{(2,9)}\)を通ります。
また、指数関数の性質から、与えらえた式は \(\large{x}\)軸 (\(\large{y=0}\)) が漸近線となります。
以上から、グラフを描くと以下のようになります。
【解答と解説】
先述したように、指数関数のグラフを描くときは、『①特徴的な座標』と『②漸近線の位置』を求めます。
底が \(\large{0 < a < 1}\) の時は、\(\large{x}\)が負の値のときの座標を求めると、グラフが書きやすいです。
まず、指数計算の \(\large{a^0=1}\) の性質から、与えらえた式は点\(\large{(0,-1)}\)を通ります。
また、\(\large{x=-1}\) のとき、
$$\large{y=\left(\frac{1}{3}\right)^{-1} -2}={(3^{-1})}^{-1}-2=1$$
より、点\(\large{(-1,1)}\)を通ります。
また、\(\large{x=-2}\) のとき、 $$\large{y=\left(\frac{1}{3}\right)^{-2} -2}={(3^{-1})}^{-2}-2=7$$ より、点\(\large{(-2,7)}\)を通ります
また、\(\large{y=a^x}\) の漸近線が \(\large{y=0}\) であることから、\(\large{y=a^x-2}\) の漸近線は \(\large{y=-2}\) となります。
以上から、グラフを描くと以下のようになります。
また、\(\large{y=3^x}\) との位置関係は、\(\large{y}\)軸に関して対称移動し、\(\large{y}\)軸方向に \(\large{-2}\) だけ平行移動したグラフとなります。
【解答と解説】
前の問題と同様に『①特徴的な座標』と『②漸近線の位置』を求めます。
まず、\(\large{x=-2}\)のとき、指数計算の \(\large{a^0=1}\) の性質から、 $$\large{y=-\left(\frac{1}{3}\right)^0 +1 = 0}$$ より与えらえた式は点\(\large{(-2,0)}\)を通ります。
また、\(\large{x=-3}\) のとき、 $$\large{y=-\left(\frac{1}{3}\right)^{-1} +1 = -(3^{-1})^{-1}+1=-2}$$ より、点\(\large{(-3,-2)}\)を通ります。
また、\(\large{x=-4}\) のとき、 $$\large{y=-\left(\frac{1}{3}\right)^{-2} +1 = -(3^{-1})^{-2}+1=-8}$$ より、点\(\large{(-4,-8)}\)を通ります
また、\(\large{y=-a^x}\) の漸近線が \(\large{y=0}\) であることから、\(\large{y=-a^x+1}\) の漸近線は \(\large{y=1}\) となります。(\(\large{y=a^x}\) と \(\large{y=-a^x}\)は\(\large{x}\)軸対称であり、どちらも漸近線は \(\large{y=0}\) です。 )
以上から、グラフを描くと以下のようになります。
また、\(\large{y=3^x}\) との位置関係は、原点に対して対称移動し、\(\large{x}\)軸方向に\(\large{-2}\), \(\large{y}\)軸方向に\(\large{+1}\) だけ平行移動したグラフとなります。