本項では以下の内容を解説しています。
\(\large{p \neq 0\hspace{1pt},\hspace{2pt}1}\) かつ \(\large{q \neq 0}\) であるとき、
の解き方について解説します。
\(\large{p \neq 0\hspace{1pt},\hspace{2pt}1}\) かつ \(\large{q \neq 0}\) であるとき、以下の漸化式 \begin{eqnarray} && \Large a_1 = a\\[0.7em] && \Large a_{n+1} = p\hspace{1pt}a_n +q \\ \end{eqnarray} は等差数列や等比数列を表す漸化式と似ていますが、そのままでは一般項を求めることができません。
そこで、上記のような漸化式から一般項\(\large{\{a_n\}}\) を求める場合、特性方程式と呼ばれる式を利用して一般項を求めます。
\(\large{p \neq 1\hspace{1pt},\hspace{2pt} q \neq 0}\) のとき、特性方程式は以下の式で表されます。
特性方程式は、漸化式の \(\large{a_{n+1}\hspace{1pt},\hspace{2pt}a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた式となります。
特性方程式 \(\large{\alpha = p \hspace{1pt} \alpha + q}\) を解いた解\(\large{\alpha\hspace{2pt}}\)を用いると、漸化式を以下の形式に書き換えることができます。 $$\large{a_{n+1} -\alpha = p\hspace{1pt}(a_n - \alpha)}$$ このとき、数列\(\large{\{a_n-\alpha\}}\) は 公比\(\large{\hspace{2pt}p\hspace{3pt}}\)の等比数列の漸化式 となるため、一般項を求めることができます。
例題の漸化式の \(\large{a_{n+1}\hspace{1pt},\hspace{2pt}a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた特性方程式 $$\large{\alpha = 4 \hspace{1pt} \alpha - 9}$$ を解くと \(\large{\alpha = \color{red}{3}\color{black}{}}\) となります。
この解を用いて \(\large{a_{n+1} = 4\hspace{1pt}a_n -9}\) を変形すると $$\large{a_{n+1}-\color{red}{3}\color{black}{} = 4\hspace{1pt}(a_n -\color{red}{3}\color{black}{})}$$ となります。
ここで、数列\(\large{\{a_n -3\}}\) は 初項 \(\large{\hspace{1pt}a_1 = 1-3 = -2}\)、公比 \(\large{r=4}\) の等比数列となることから、 $$\large{a_n -3 = -2\cdot 4^{n-1} }$$ すなわち、数列\(\large{\{a_n\}}\) の一般項は $$\large{a_n = -2\cdot 4^{n-1}+3}$$ となります。
先述したように漸化式 $$\large{a_{n+1} = p\hspace{1pt}a_n +q \hspace{5pt}\cdots(1)}$$ に対して特性方程式 \(\large{\alpha = p \hspace{1pt} \alpha + q}\) を解いた解\(\large{\alpha}\) から $$\large{a_{n+1} -\alpha = p\hspace{1pt}(a_n - \alpha)\hspace{5pt}\cdots(2)}$$ の式に変形することで、数列\(\large{\{a_n-\alpha\}}\) を等比数列として一般項を求めることができます。
なぜ、特性方程式の解から 上手く\(\large{(1)}\)式から\(\large{(2)}\)式へ変形できるのでしょうか。
\(\large{(2)\hspace{1pt}}\)式を変形すると $$\large{a_{n+1} = p\hspace{1pt}a_n - p\hspace{1pt}\alpha + \alpha\hspace{5pt}\cdots(2)'}$$ となります。
\(\large{(1)\hspace{1pt}}\)式と\(\large{(2)'\hspace{1pt}}\)式を比較すれば $$\large{q=- p\hspace{1pt}\alpha + \alpha}$$ であるとき、\(\large{(1)\hspace{1pt}}\)式と\(\large{(2)'\hspace{1pt}}\)が一致します。すなわち、 $$\large{\alpha = p \hspace{1pt} \alpha + q}$$ を満たす解\(\large{\alpha}\) を求めることで \(\large{(1)}\)式から\(\large{(2)}\)式に変形できることになります。
以上から、解\(\large{\alpha}\) を求める式(特性方程式)は 漸化式 $$\large{a_{n+1} = p\hspace{1pt}a_n +q}$$ の \(\large{a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた式となります。
本章では、特性方程式に関連する問題と解き方について解説します。
解答と解説 : 問題(1)
解答と解説 : 問題(2)
解答と解説 : 問題(3)
【問題1の解答】
問題1の漸化式の \(\large{a_{n+1}\hspace{1pt},\hspace{2pt}a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた特性方程式
$$\large{\alpha = 3 \hspace{1pt} \alpha - 4}$$
を解くと \(\large{\alpha = \color{red}{2}\color{black}{}}\) となります。
この解を用いて \(\large{a_{n+1} = 3\hspace{1pt}a_n -4}\) を変形すると $$\large{a_{n+1}-\color{red}{2}\color{black}{} = 3\hspace{1pt}(a_n -\color{red}{2}\color{black}{})}$$ となります。
ここで、数列\(\large{\{a_n -2\}}\) は 初項 \(\large{\hspace{1pt}a_1 = 5-2 = 3}\)、公比 \(\large{r=3}\) の等比数列となることから、 $$\large{a_n -2 = 3\cdot 3^{n-1} = 3^n}$$ すなわち、数列\(\large{\{a_n\}}\) の一般項は $$\large{a_n = 3^{n}+2}$$ となります。
【問題2の解答】
問題2の漸化式の \(\large{a_{n+1}\hspace{1pt},\hspace{2pt}a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた特性方程式
$$\large{\alpha = -3 \hspace{1pt} \alpha - 12}$$
を解くと \(\large{\alpha = \color{red}{-3}\color{black}{}}\) となります。
この解を用いて \(\large{a_{n+1} = -3\hspace{1pt}a_n -12}\) を変形すると $$\large{a_{n+1}-(\color{red}{-3}\color{black}{}) = -3\hspace{1pt}(a_n -(\color{red}{-3}\color{black}{}))}$$ すなわち $$\large{a_{n+1}+3 = -3\hspace{1pt}(a_n +3)}$$ となります。
ここで、数列\(\large{\{a_n +3\}}\) は 初項 \(\large{\hspace{1pt}a_1 = 7+3 = 10}\)、公比 \(\large{r=-3}\) の等比数列となることから、 $$\large{a_n +3 = 10\cdot (-3)^{n-1}}$$ すなわち、数列\(\large{\{a_n\}}\) の一般項は $$\large{a_n = 10\cdot (-3)^{n-1} -3}$$ となります。
【問題3の解答】
問題3の漸化式 \(\large{15\hspace{1pt}a_{n+1} - 3\hspace{1pt}a_n =2}\) を変形すると
$$\large{a_{n+1} = \frac{1}{5}\hspace{1pt}a_n+\frac{2}{15}}$$
となります。
\(\large{a_{n+1}\hspace{1pt},\hspace{2pt}a_n}\) を \(\large{\alpha}\) に置き換えた特性方程式 $$\large{\alpha = \frac{1}{5}\hspace{1pt}\alpha+\frac{2}{15}}$$ を解くと \(\displaystyle\large{\alpha = \color{red}{\frac{1}{6}}\color{black}{}}\) となります。
この解を用いて \(\displaystyle\large{a_{n+1} = \frac{1}{5}\hspace{1pt}a_n+\frac{2}{15}}\) を変形すると $$\large{a_{n+1}- \color{red}{\frac{1}{6}}\color{black}{} = \frac{1}{5}\hspace{1pt}\left(a_n - \color{red}{\frac{1}{6}}\color{black}{}\right)}$$ となります。
ここで、数列\(\displaystyle\large{\left\{a_n -\frac{1}{6}\right\}}\) は 初項 \(\displaystyle\large{\hspace{1pt}a_1 = \frac{1}{2}-\frac{1}{6} = \frac{1}{3}}\)、公比 \(\displaystyle\large{r=\frac{1}{5}}\) の等比数列となることから、 $$\large{a_n -\frac{1}{6} = \frac{1}{3}\cdot \left(\frac{1}{5}\right)^{n-1} }$$ すなわち、数列\(\large{\{a_n\}}\) の一般項は $$\large{a_n = \frac{1}{3}\cdot \left(\frac{1}{5}\right)^{n-1}+\frac{1}{6}}$$ となります。