本項では以下の内容を解説しています。
重複順列とは、異なる\(\large{\hspace{1pt}n\hspace{2pt}}\)個のものから重複を許して\(\large{\hspace{2pt}r\hspace{2pt}}\)個を取り出して並べる順列のことをいいます。
重複順列の例として \(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}3\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt},\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\) の\(\large{\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\)つの数字を重複を許して並べ、数を作る問題について考えます。
\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数の百の位、十の位、一の位のそれぞれに \(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}3\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt},\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\) を繰り返し使用することができるため、 \begin{eqnarray} \large5 \times 5 \times 5& \large = & \large 5^3\\[0.7em] \large & \large = & \large 125\\[0.7em] \end{eqnarray} したがって、\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数は\(\large{\hspace{1pt}125\hspace{1pt}}\)通りとなります。
一般的には、異なる\(\large{\hspace{1pt}n\hspace{2pt}}\)個のものから重複を許して\(\large{\hspace{1pt}r\hspace{2pt}}\)個を取り出し並べる並べ方の総数は以下の公式で表されます。
順列は、異なるものから順序を考えて並べます。
順列は並べるときに 同じものを使うことができません。
一方、重複順列は、異なるものから重複を許して並べる順列です。
重複順列は 同じものを繰り返し使うことができます。
以下の例題で、順列と重複順列の計算方法の違いを示します。
・(1)順列の例題
\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数の『百の位は\(\large{\hspace{2pt}5\hspace{2pt}}\)種類』、『十の位は "百の位の数字を除いた"\(\large{\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)種類』、『一の位は "百の位と十の位の数字を除いた"\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)種類』から選び並べます。
順列の公式から \begin{eqnarray} \large {}_5 P_{\hspace{1pt}3} & \large = & \large 5\cdot 4 \cdot 3\\[0.7em] \large & \large = & \large 60\\[0.7em] \end{eqnarray} したがって、\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数は\(\large{\hspace{1pt}60\hspace{1pt}}\)通りとなります。
・(2)重複順列の例題
\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数の百の位、十の位、一の位のそれぞれに \(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}3\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt},\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\) の\(\large{\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\)種類を繰り返し使用することができるため、
$$\large{5^3 = 125}$$
したがって、\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)桁の数は\(\large{\hspace{1pt}125\hspace{1pt}}\)通りとなります。
本章では、重複順列に関連する問題と解き方について解説します。
解答と解説 : 問題1
解答と解説 : 問題2
解答と解説 : 問題3
解答と解説 : 問題4
解答と解説 : 問題5
解答と解説 : 問題6
解答と解説 : 問題7
コインを投げたときの\(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt}}\)回目~\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)回目のそれぞれに表か裏、すなわち\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)通りの出方があります。
つまり、重複順列の公式から $$\large{2^6 = 64}$$ となります。
したがって、コインを\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)回投げたときの表裏の出方は\(\large{\hspace{1pt}64\hspace{1pt}}\)通りとなります。
じゃんけんの手を出したとき\(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt}}\)人あたり\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)通りの手の出し方があります。
つまり、重複順列の公式から $$\large{3^4 = 81}$$ となります。
したがって、\(\large{\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)人がじゃんけんをしたときの手の出し方は\(\large{\hspace{1pt}81\hspace{1pt}}\)通りとなります。
大中小の\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)個のサイコロを投げたとき、それぞれのサイコロに\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)通りの出方があります。
つまり、重複順列の公式から $$\large{6^3 = 216}$$ となります。
したがって、大中小の\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)個のサイコロを投げたときの目の出方は\(\large{\hspace{1pt}216\hspace{1pt}}\)通りとなります。
本問は \(\large{A\hspace{1pt},\hspace{1pt}B\hspace{1pt},\hspace{1pt}C\hspace{1pt},\hspace{1pt}D\hspace{1pt},\hspace{1pt}E\hspace{1pt},\hspace{1pt}F\hspace{1pt}}\) のそれぞれが部分集合の要素になるか、ならないかの\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)通りがあります。
すなわち、部分集合の数は $$\large{2^6 = 64}$$ であることから、\(\large{\hspace{1pt}64\hspace{1pt}}\)通りとなります。
本問は、複数の数字を重複を許して並べる順列であるため、重複順列の問題です。
まず、千の位の数字は\(\large{\hspace{1pt}0\hspace{1pt}}\)以外の数字を選ぶため、\(\large{\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\)通りとなります。
百の位、十の位、一の位の数字は\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)種類の数字から選べるため 重複順列の公式から\(\large{\hspace{1pt}6^3\hspace{1pt}}\)通りとなります。
すなわち $$\large{5 \times 6^3 = 1080}$$ であるため \(\large{0\hspace{1pt},\hspace{1pt}1\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}3\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt},\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\) の\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)つの数字を重複を許して選び\(\large{\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)桁の整数を作るとき、\(\large{\hspace{1pt}1080\hspace{1pt}}\)通りの数ができます。
問題(1)と同様に、千の位の数字は\(\large{\hspace{1pt}0\hspace{1pt}}\)以外の数字を選ぶため、\(\large{\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\)通りとなります。
また、偶数であるためには、一の位に\(\large{\hspace{1pt}0\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)のいずれかを選択するため、\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)通りとなります。
百の位と十の位の数字は、\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)種類の数字から選べるため 重複順列の公式から\(\large{\hspace{1pt}6^2\hspace{1pt}}\)通りとなります。
すなわち $$\large{5 \times 3 \times 6^2 = 540}$$ であるため \(\large{0\hspace{1pt},\hspace{1pt}1\hspace{1pt},\hspace{1pt}2\hspace{1pt},\hspace{1pt}3\hspace{1pt},\hspace{1pt}4\hspace{1pt},\hspace{1pt}5\hspace{1pt}}\) の\(\large{\hspace{1pt}6\hspace{1pt}}\)つの数字を重複を許して選び\(\large{\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)桁の偶数を作るとき、\(\large{\hspace{1pt}540\hspace{1pt}}\)通りの数ができます。
\(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt}}\)個、\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)個、\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)個、\(\large{\hspace{1pt}4\hspace{1pt}}\)個の文字を並べるとき、それぞれ\(\large{\hspace{1pt}3\hspace{1pt}}\)通り、\(\large{\hspace{1pt}3^2\hspace{1pt}}\)通り、\(\large{\hspace{1pt}3^3\hspace{1pt}}\)通り、\(\large{\hspace{1pt}3^4\hspace{1pt}}\)通りの文字の並べ方があります。
したがって、 $$\large{ 3+3^2+3^3 +3^4 = 120}$$ したがって、\(\large{120\hspace{1pt}}\)通りとなります。
\(\large{8\hspace{1pt}}\)人それぞれに対して\(\large{\hspace{1pt}A\hspace{3pt}}\)または\(\large{\hspace{1pt}B\hspace{2pt}}\)の\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)通りの方法があります。
したがって、 $$\large{ 2^8 = 256}$$ したがって、\(\large{256\hspace{1pt}}\)通りとなります。
問題(1)では、\(\large{\hspace{1pt}1\hspace{1pt}}\)人も入らない部屋があってもよいという条件があったため、\(\large{\hspace{1pt}8\hspace{1pt}}\)人全員が\(\large{\hspace{1pt}A\hspace{2pt}}\)もしくは\(\large{\hspace{1pt}B\hspace{2pt}}\)に入る場合も数えていました。
一方、問題(2)は\(\large{\hspace{1pt}8\hspace{1pt}}\)人を\(\large{\hspace{1pt}A\hspace{2pt},B\hspace{3pt}}\)の\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)つのグループに分けるため、\(\large{\hspace{1pt}8\hspace{1pt}}\)人全員が\(\large{\hspace{1pt}A\hspace{2pt}}\)もしくは\(\large{\hspace{1pt}B\hspace{2pt}}\)に入る場合を引く必要があります。
\(\large{\hspace{1pt}8\hspace{1pt}}\)人全員が\(\large{\hspace{1pt}A\hspace{2pt}}\)もしくは\(\large{\hspace{1pt}B\hspace{2pt}}\)に入る場合は\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)通りあるため、グループ分けの方法は以下のように求められます。
$$\large{ 2^8 -2 = 254}$$ したがって、\(\large{254\hspace{1pt}}\)通りとなります。
\(\large{\hspace{1pt}8\hspace{1pt}}\)人を区別できない\(\large{\hspace{1pt}2\hspace{1pt}}\)つのグループに分ける場合、問題(2)の計算方法では同じグループの分け方が \(\large{\hspace{1pt}\color{red}{2\hspace{1pt}!}\hspace{2pt}}\)通りずつできます。
そのため、問題(2)の結果を\(\large{\hspace{1pt}\color{red}{2\hspace{1pt}!}\hspace{1pt}}\)で割ることで、以下のように求められます。 $$\large{ \frac{2^8 -2}{\color{red}{2\hspace{1pt}!}\color{black}{}} = 127}$$ したがって、\(\large{127\hspace{1pt}}\)通りとなります。