本項では、長さの単位であるオングストロームについて解説します。
オングストロームとは、主に 光の波長 や 原子の大きさ など極めて小さい長さに使用される単位です。
オングストロームの単位記号には \(\large{\rm{A}}\) の上に 〇 を付けた \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) が使用されます。
\(\large{1\hspace{2pt}}\)\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) は \(\large{10^{-10}\hspace{2pt}\rm{m}}\) と定義されています。
オングストロームの単位 \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) は 接頭語ではないため、\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}\large{m}}\) のように \(\large{\rm{m}}\) を付けて表記するのは間違いです。
オングストローム \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) に近い長さの単位として、メートルに \(\large{10^{-9}}\) を表す ナノ を付けた ナノメートル (\(\large{\rm{nm}}\)) や \(\large{10^{-12}}\) を表す ピコ を付けた ピコメートル (\(\large{\rm{pm}}\)) があります。
\(\large{1\hspace{2pt}}\)ナノメートルは \(\large{1\hspace{2pt}\rm{nm} = 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{m}\hspace{1pt}}\)、\(\large{1\hspace{2pt}}\)ピコメートルは \(\large{1\hspace{2pt}\rm{pm} = 10^{-12}\hspace{2pt}\rm{m}}\) の長さを表します。
\(\large{1\hspace{2pt}}\)\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) を ナノメートル、ピコメートルで表すと以下のようになります。
また、\(\large{1\hspace{2pt}\rm{nm}}\) と \(\large{1\hspace{2pt}\rm{pm}}\) を オングストロームで表すと以下のようになります。
以下の表に、長さの単位を メートル\(\large{\hspace{1pt}\rm{m}}\) に変換する表を示します。
単位 | 読み | \(\large{\rm{[m]}}\) |
---|---|---|
\(\large{\rm{m}}\) | メートル | \(\large{1}\) |
\(\large{\rm{cm}}\) | センチメートル | \(\large{1 \times 10^{-2}}\) |
\(\large{\rm{mm}}\) | ミリメートル | \(\large{1 \times 10^{-3}}\) |
\(\large{\rm{\mu m}}\) | マイクロメートル | \(\large{1 \times 10^{-6}}\) |
\(\large{\rm{nm}}\) | ナノメートル | \(\large{1 \times 10^{-9}}\) |
\(\Large{\rm{\color{red}{Å}}}\) | オングストローム | \(\large{\color{red}{1 \times 10^{-10}}}\) |
\(\large{\rm{pm}}\) | ピコメートル | \(\large{1 \times 10^{-12}}\) |
\(\large{\rm{fm}}\) | フェムトメートル | \(\large{1 \times 10^{-15}}\) |
\(\large{\rm{am}}\) | アトメートル | \(\large{1 \times 10^{-18}}\) |
例えば、\(\Large{20\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) をメートルに換算するときは $$\large{20 \times \color{red}{1 \times 10^{-10}}\color{black}{} = 2 \times 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{[m]}}$$ と求められます。
また、以下の表に 長さの単位を オングストローム\(\Large{\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) に変換する表を示します。
単位 | 読み | \(\Large{\rm{[\boldsymbol{Å}]}}\) |
---|---|---|
\(\large{\rm{m}}\) | メートル | \(\large{\color{red}{1 \times 10^{10}}}\) |
\(\large{\rm{cm}}\) | センチメートル | \(\large{1 \times 10^{8}}\) |
\(\large{\rm{mm}}\) | ミリメートル | \(\large{1 \times 10^{7}}\) |
\(\large{\rm{\mu m}}\) | マイクロメートル | \(\large{1 \times 10^{4}}\) |
\(\large{\rm{nm}}\) | ナノメートル | \(\large{1 \times 10^{1}}\) |
\(\Large{\rm{Å}}\) | オングストローム | \(\large{1 }\) |
\(\large{\rm{pm}}\) | ピコメートル | \(\large{1 \times 10^{-2}}\) |
\(\large{\rm{fm}}\) | フェムトメートル | \(\large{1 \times 10^{-5}}\) |
\(\large{\rm{am}}\) | アトメートル | \(\large{1 \times 10^{-8}}\) |
例えば、\(\large{2 \times 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{m}}\) をオングストロームに換算するときは $$\large{2 \times 10^{-9} \times \color{red}{1 \times 10^{10}}\color{black}{} = 20\hspace{2pt}\rm{[\rm{Å}]}}$$ と求められます。
オングストロームは、光の波長 や 原子の大きさ などの長さを表す用途で使われます。
人の目に見える \(\large{380~770 \hspace{2pt}\rm{nm}}\) の波長の光を可視光といいます。
光の波長は長さに応じて様々な単位が使われますが、可視光の範囲では マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム などが使われます。
例として、可視光のうち最も短い紫色の波長 \(\large{380\hspace{2pt}\rm{nm}}\) と 可視光の最も長い赤色の波長 \(\large{770\hspace{2pt}\rm{nm}}\) を マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム で表すと以下のようになります。
単位 | 赤色 | 紫色 |
---|---|---|
\(\large{\rm{\mu m}}\) | \(\large{ 0.77 \hspace{2pt}\rm{\mu m}}\) | \(\large{0.38 \hspace{2pt}\rm{\mu m} }\) |
\(\large{\rm{nm}}\) | \(\large{ 770 \hspace{2pt}\rm{nm}}\) | \(\large{380 \hspace{2pt}\rm{nm} }\) |
\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) | \(\large{ 7700 \hspace{2pt}\rm{Å}}\) | \(\large{3800 \hspace{2pt}\rm{Å} }\) |
水素原子の第一軌道半径である ボーア半径は $$\large{a_0 \approx 5.292 \times 10^{-11} \hspace{2pt}\rm{m}}$$ となります。
ボーア半径 を マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム で表すと以下のようになります。
単位 | ボーア半径 |
---|---|
\(\large{\rm{m}}\) | \(\large{ 5.292 \times 10^{-11}\hspace{2pt}\rm{ m}}\) |
\(\large{\rm{\mu m}}\) | \(\large{ 5.292 \times 10^{-5} \hspace{2pt}\rm{\mu m}}\) |
\(\large{\rm{nm}}\) | \(\large{ 5.292 \times 10^{-2} \hspace{2pt}\rm{nm}}\) |
\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) | \(\large{ 5.292 \times 10^{-1} \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) |
上記の表から、ボーア半径 を\(\large{2\hspace{1pt}}\)倍して直径に換算すると $$\large{2 \hspace{1pt}a_0 \approx 1.058 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。
つまり、水素原子の直径が 約\(\large{\hspace{2pt}1\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) となることから、オングストロームは原子の大きさを表す単位として都合がよく、原子・分子の大きさを表す単位として使われます。
メートル と オングストローム を換算する例題を示します。
【単位換算の解説】
ピコメートル と オングストロームは
$$\large{1\hspace{2pt}\rm{pm} = 0.01 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$
の関係があります。
また、ナノメートル と オングストロームは $$\large{1\hspace{2pt}\rm{nm} = 10 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ の関係があることから、 $$\large{10\hspace{2pt}\rm{nm} = 100 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。
したがって、\(\large{X\hspace{1pt}}\)線の波長の領域を オングストローム \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) で表記をすると $$\large{0.01\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}~100\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。
オングストローム と メートル の単位を換算するツールです。
・空欄に半角数字を入力し、『換算実行』を押してください。
・分数は 半角記号 / を使用して 『1/5』などと入力してください。
(オングストローム以外の長さの単位にも対応した 長さの単位換算ツール を公開しています。)
・指数で結果を表示したとき 『\(\large{1.0\hspace{2pt}e+2}\)』は 『\(\large{1.0 \times 10^2}\)』(すなわち、\(\large{100}\))を意味します
・『出力する小数点以下の桁数』で入力した桁より1つ小さい桁で出力値を四捨五入します
(例)『出力値の小数点以下の桁数』が2 → 出力が『0.59284...』の場合, 小数点以下3桁で四捨五入して『0.59』とします
【長さの入力】
・変換前の長さ \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\)
・変換後の単位
【出力値の設定】
・出力する小数点以下の桁数
・
オングストローム | メートル |
---|---|
【長さの入力】
・変換前の長さ
・変換前の単位
【出力値の設定】
・出力する小数点以下の桁数
・
メートル | オングストローム |
---|---|