-光と光学に関連する用語の解説サイト-

オングストローム | 意味・変換方法・変換ツール

本項では、長さの単位であるオングストロームについて解説します。

【1】オングストロームとは

オングストロームとは、主に 光の波長原子の大きさ など極めて小さい長さに使用される単位です。
オングストロームの単位記号には \(\large{\rm{A}}\) の上に 〇 を付けた \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) が使用されます。

\(\large{1\hspace{2pt}}\)\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) は \(\large{10^{-10}\hspace{2pt}\rm{m}}\) と定義されています。

【オングストロームの定義】
$$\Large{1\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}} =10^{-10}\hspace{2pt}\rm{m}}$$

オングストロームの単位 \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) は 接頭語ではないため、\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}\large{m}}\) のように \(\large{\rm{m}}\) を付けて表記するのは間違いです。

・ナノメートル, ピコメートルとの比較

オングストローム \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) に近い長さの単位として、メートルに \(\large{10^{-9}}\) を表す ナノ を付けた ナノメートル (\(\large{\rm{nm}}\)) や \(\large{10^{-12}}\) を表す ピコ を付けた ピコメートル (\(\large{\rm{pm}}\)) があります。

\(\large{1\hspace{2pt}}\)ナノメートルは \(\large{1\hspace{2pt}\rm{nm} = 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{m}\hspace{1pt}}\)、\(\large{1\hspace{2pt}}\)ピコメートルは \(\large{1\hspace{2pt}\rm{pm} = 10^{-12}\hspace{2pt}\rm{m}}\) の長さを表します。

\(\large{1\hspace{2pt}}\)\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) を ナノメートル、ピコメートルで表すと以下のようになります。

【単位の換算】
\begin{eqnarray} \Large 1\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}&\large =&\Large 10^{-10}\hspace{2pt}\rm{m} \\[0.7em] \large &\large =&\Large 0.1 \hspace{2pt}\rm{nm} \\[0.7em] \large &\large =&\Large 100 \hspace{2pt}\rm{pm} \\ \end{eqnarray}

また、\(\large{1\hspace{2pt}\rm{nm}}\) と \(\large{1\hspace{2pt}\rm{pm}}\) を オングストロームで表すと以下のようになります。

【単位の換算】
\begin{eqnarray} \Large 1\hspace{2pt}\rm{nm}&\large =&\Large 10\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}} \\[0.7em] \Large 1\hspace{2pt}\rm{pm}&\large =&\Large 0.01 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}} \\[0.7em] \end{eqnarray}

・他の長さの単位との比較

以下の表に、長さの単位を メートル\(\large{\hspace{1pt}\rm{m}}\) に変換する表を示します。

単位 読み \(\large{\rm{[m]}}\)
\(\large{\rm{m}}\) メートル \(\large{1}\)
\(\large{\rm{cm}}\) センチメートル \(\large{1 \times 10^{-2}}\)
\(\large{\rm{mm}}\) ミリメートル \(\large{1 \times 10^{-3}}\)
\(\large{\rm{\mu m}}\) マイクロメートル \(\large{1 \times 10^{-6}}\)
\(\large{\rm{nm}}\) ナノメートル \(\large{1 \times 10^{-9}}\)
\(\Large{\rm{\color{red}{Å}}}\) オングストローム \(\large{\color{red}{1 \times 10^{-10}}}\)
\(\large{\rm{pm}}\) ピコメートル \(\large{1 \times 10^{-12}}\)
\(\large{\rm{fm}}\) フェムトメートル \(\large{1 \times 10^{-15}}\)
\(\large{\rm{am}}\) アトメートル \(\large{1 \times 10^{-18}}\)

例えば、\(\Large{20\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) をメートルに換算するときは $$\large{20 \times \color{red}{1 \times 10^{-10}}\color{black}{} = 2 \times 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{[m]}}$$ と求められます。

また、以下の表に 長さの単位を オングストローム\(\Large{\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) に変換する表を示します。

単位 読み \(\Large{\rm{[\boldsymbol{Å}]}}\)
\(\large{\rm{m}}\) メートル \(\large{\color{red}{1 \times 10^{10}}}\)
\(\large{\rm{cm}}\) センチメートル \(\large{1 \times 10^{8}}\)
\(\large{\rm{mm}}\) ミリメートル \(\large{1 \times 10^{7}}\)
\(\large{\rm{\mu m}}\) マイクロメートル \(\large{1 \times 10^{4}}\)
\(\large{\rm{nm}}\) ナノメートル \(\large{1 \times 10^{1}}\)
\(\Large{\rm{Å}}\) オングストローム \(\large{1 }\)
\(\large{\rm{pm}}\) ピコメートル \(\large{1 \times 10^{-2}}\)
\(\large{\rm{fm}}\) フェムトメートル \(\large{1 \times 10^{-5}}\)
\(\large{\rm{am}}\) アトメートル \(\large{1 \times 10^{-8}}\)

例えば、\(\large{2 \times 10^{-9}\hspace{2pt}\rm{m}}\) をオングストロームに換算するときは $$\large{2 \times 10^{-9} \times \color{red}{1 \times 10^{10}}\color{black}{} = 20\hspace{2pt}\rm{[\rm{Å}]}}$$ と求められます。

【2】光の波長や原子の長さの単位

オングストロームは、光の波長 や 原子の大きさ などの長さを表す用途で使われます。

・光の波長

人の目に見える \(\large{380~770 \hspace{2pt}\rm{nm}}\) の波長の光を可視光といいます。

光の波長は長さに応じて様々な単位が使われますが、可視光の範囲では マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム などが使われます。

例として、可視光のうち最も短い紫色の波長 \(\large{380\hspace{2pt}\rm{nm}}\) と 可視光の最も長い赤色の波長 \(\large{770\hspace{2pt}\rm{nm}}\) を マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム で表すと以下のようになります。

単位 赤色 紫色
\(\large{\rm{\mu m}}\) \(\large{ 0.77 \hspace{2pt}\rm{\mu m}}\) \(\large{0.38 \hspace{2pt}\rm{\mu m} }\)
\(\large{\rm{nm}}\) \(\large{ 770 \hspace{2pt}\rm{nm}}\) \(\large{380 \hspace{2pt}\rm{nm} }\)
\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) \(\large{ 7700 \hspace{2pt}\rm{Å}}\) \(\large{3800 \hspace{2pt}\rm{Å} }\)

【2-2】原子の大きさ

水素原子の第一軌道半径である ボーア半径は $$\large{a_0 \approx 5.292 \times 10^{-11} \hspace{2pt}\rm{m}}$$ となります。

ボーア半径 を マイクロメートル、ナノメートル、オングストローム で表すと以下のようになります。

単位 ボーア半径
\(\large{\rm{m}}\) \(\large{ 5.292 \times 10^{-11}\hspace{2pt}\rm{ m}}\)
\(\large{\rm{\mu m}}\) \(\large{ 5.292 \times 10^{-5} \hspace{2pt}\rm{\mu m}}\)
\(\large{\rm{nm}}\) \(\large{ 5.292 \times 10^{-2} \hspace{2pt}\rm{nm}}\)
\(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) \(\large{ 5.292 \times 10^{-1} \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\)

上記の表から、ボーア半径 を\(\large{2\hspace{1pt}}\)倍して直径に換算すると $$\large{2 \hspace{1pt}a_0 \approx 1.058 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。

つまり、水素原子の直径が 約\(\large{\hspace{2pt}1\hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}\) となることから、オングストロームは原子の大きさを表す単位として都合がよく、原子・分子の大きさを表す単位として使われます。

【3】単位換算の例題

メートル と オングストローム を換算する例題を示します。

【例題】
レントゲン や \(\large{\rm{CT}}\) などに利用される\(\large{\rm{X}\hspace{1pt}}\)線の波長は 約\(\large{1\hspace{1pt}\rm{pm}}\)~\(\large{10\hspace{1pt}\rm{nm}}\) の範囲の波長である。
\(\large{X\hspace{1pt}}\)線の波長の領域を オングストローム \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) で表記せよ。

【単位換算の解説】
ピコメートル と オングストロームは $$\large{1\hspace{2pt}\rm{pm} = 0.01 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ の関係があります。

また、ナノメートル と オングストロームは $$\large{1\hspace{2pt}\rm{nm} = 10 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ の関係があることから、 $$\large{10\hspace{2pt}\rm{nm} = 100 \hspace{2pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。

したがって、\(\large{X\hspace{1pt}}\)線の波長の領域を オングストローム \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\) で表記をすると $$\large{0.01\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}~100\hspace{1pt}\rm{\boldsymbol{Å}}}$$ となります。

【4】単位換算ツール

オングストローム と メートル の単位を換算するツールです。

・空欄に半角数字を入力し、『換算実行』を押してください。

・分数は 半角記号 / を使用して 『1/5』などと入力してください。
(オングストローム以外の長さの単位にも対応した 長さの単位換算ツール を公開しています。)

・指数で結果を表示したとき 『\(\large{1.0\hspace{2pt}e+2}\)』は 『\(\large{1.0 \times 10^2}\)』(すなわち、\(\large{100}\))を意味します

・『出力する小数点以下の桁数』で入力した桁より1つ小さい桁で出力値を四捨五入します
 (例)『出力値の小数点以下の桁数』が2 → 出力が『0.59284...』の場合, 小数点以下3桁で四捨五入して『0.59』とします

・オングストローム から メートル に換算

【長さの入力】
  ・変換前の長さ  \(\Large{\rm{\boldsymbol{Å}}}\)

  ・変換後の単位 

【出力値の設定】
  ・出力する小数点以下の桁数
  ・

   

オングストローム メートル

・メートル から オングストローム に換算

【長さの入力】
  ・変換前の長さ 

  ・変換前の単位 

【出力値の設定】
  ・出力する小数点以下の桁数
  ・

   

メートル オングストローム

Copyright (c) 光学技術の基礎用語 All Rights Reserved.