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焦点距離の測定方法

本項では、光学系の焦点距離の代表的な測定方法である以下の2つの方法について解説します。

  • ・焦点距離比較法
  • ・ノーダルスライド法

【1】焦点距離の測定方法

焦点距離とは、光学系の主点位置から、平行光を集光したときの焦点までの距離のことをいいます。

焦点距離の測定方法は、JIS B7094『写真レンズ-焦点距離測定方法』に以下の4種類の測定方法が記載されています。

・焦点距離比較法
・遠方の物体による法
・ノーダルスライド法
・外挿法

本項では、焦点距離の測定方法としてよく採用される焦点距離比較法ノーダルスライド法について解説します。

【2】焦点距離比較法

焦点距離比較法とは、すでに焦点距離が分かっているコリメータレンズと被験レンズを組み合わせ、その像の高さを測定することで被験レンズの焦点距離を測定する方法です。

図1に焦点距離比較法の測定系を示します。 焦点距離比較法

図1.焦点距離比較法

焦点距離\(\large{f_0}\)のコリメータレンズの物体側焦点の位置に既知の高さ\(\large{Y}\)の物体を配置します。コリメータレンズから射出される光線を、焦点距離を求めたい被験レンズによって集光し、像の高さ\(\large{Y'}\)を測定します。

物体の高さを\(\large{Y}\)、像の高さを\(\large{Y'}\)、コリメータレンズの焦点距離を\(\large{f_0}\)、求めたい被験レンズの焦点距離を\(\large{f}\)としたとき、以下の関係が成り立ちます。

【焦点距離比較法】
\(\large{ \displaystyle f=f_0\frac{Y'}{Y}\hspace{20pt}(1)}\)

(1)式から、被験レンズの焦点距離を算出することができます。

【3】ノーダルスライド法

ノーダルスライド法(Nodal slide)とは、光学系の物体側の節点に入射した光線が、像側の節点から角度を変えずに射出される性質を利用した測定方法です。

図2にノーダルスライド法の測定系を示します。 ノーダルスライド法の測定系

図2.ノーダルスライド法の測定系

図2のように、光学ベンチ上にコリメータレンズ、光軸方向に位置調整ができる摺動台と光軸に直交する軸で回転できる回転台、光軸方向の距離を測定できる顕微鏡が配置されています。

まず、回転台の上に被験レンズを置き、摺動台を光軸方向に移動させ、被験レンズをわずかに回転させても標線の像が移動しない位置を探します。

評点の像が移動しない条件のもとで顕微鏡の位置を記録します。

図3に、回転軸の方向から被験レンズを見た図を示します。図3のように光学系の主点(節点)の位置\(\large{H'}\)に回転台の回転軸がある条件では、被験レンズを回転させても標線が変化しなくなります。

これは節点に入射した光線の角度が、像側に射出されるときも同じ角度となるという性質のためです。 ノーダルスライド法の回転軸

図3.ノーダルスライド法の回転軸

次に、回転台に標線のある標板を設置し、摺動台を光軸方向に移動させ回転台を回転させても像が動かない位置を探します。その状態で標線の像が明瞭に見える位置での顕微鏡の位置を読み取ります。

図4に示すように、上記の2つの状態で顕微鏡の位置の差分を計算することで被験レンズの焦点距離を測定することができます。 ノーダルスライド法による焦点距離の算出

図4.ノーダルスライド法による焦点距離の算出

参考文献

焦点距離の測定方法については以下の資料を参考にした。
・(1)日本産業標準調査会,JIS B7094「写真レンズ-焦点距離の測定方法」
・(2)岸川利郎『ユーザーエンジニアのための光学入門』(株)オプトロニクス社,平成16年12月18年 第1版9刷発行


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